『d design travel WORKSHOP in 下関海峡エリア』号完成レポート_02

市民24名と編集部が一緒に作った、下関海峡エリア号

キックオフから1週間後の7月6日(土)、希望者の中から選ばれた24名の方々が、第1回目のワークショップ会場となる「下関市立近代先人顕彰館 田中絹代ぶんか館」に集まりました。この建物は、大正13年に、「旧逓信省下関電信局電話課庁舎」(きゅうていしんしょうしものせきでんしんきょくでんわかちょうしゃ)として建てられたもの。大正末期から昭和初期にかけて建てられた電話局舎のうち、現存する唯一の建物。天井に向かってアーチを描いた支柱が特徴的で、西洋の建築に影響を受けたモダンな建築物です。下関海峡エリアには、歴史を感じさせる建築も多く点在し、街並みを歩いているだけで、写真に収めたくなるような美しい光景に出会える楽しみもあります。

第1回目のワークショップは、キックオフイベントで挙がった各カテゴリ(観光、食事、カフェ、ショップ、ホテル、キーマン)から、実際に取材場所を選定するための下見(ロケハン)を行なう場所を選定し、その理由についても発表しました。

ここでも「下関らしいデザインとは何か?」について悩む参加者の皆さん。

「その場所にデザインはありますか?」
「そのカフェ(レストランやショップ)は、東京にあったとしても違和感ないものでは?」

など、神藤編集長からの鋭い質問に、自分たちが提案した場所や店が、本当に下関らしいものといえるだろうか? 下関らしいデザインとは何だろう?と考える時間を過ごしました。1カテゴリにつき最低でも8箇所ずつのロケハン場所をピックアップした後は、実際にどのようにロケハンを行なうのか、何を見たらいいのか?どこに注目すべきか…を、これまで『d design travel』での取材経験談も交えてレクチャー。
第2回目のワークショップまでには、ロケハン場所をめぐり、写真を撮影して、ロケハンレポートを作るという宿題が与えられました。

 

2回目は取材先を決定。
公開編集会議のワークショップです。

第1回目のワークショップから約2ヶ月を経た、9月14日(土)。それぞれ個人で、またグループ単位で候補先の下見を終えた参加者たちが、ゲストハウス「uzuhouse」のイベントスペースに集合しました。

この場所は、キックオフイベントの時からホテルの掲載候補地としても名が挙がっていた場所。割烹旅館として建てられたビルをフルリノベーションし、2016年にオープンしたゲストハウスです。スペースに入ってすぐに目にするのは、窓の先に広がる関門海峡。

まずはそれぞれがロケハンしてきた場所を発表。その場所が掲載先としてふさわしいと感じた理由を、『d design travel』の編集ルールに基づいて発表しました。なかには、何度も取材候補地に足を運び、店員の方から詳しい話をきいてきた…という方も。参加者の皆さんの熱意を感じました。

掲載箇所には、1つのカテゴリで似たような雰囲気や理由のある場所なら、さらに厳選して選ぶという方法をとります。例えば観光地なら、歴史を感じさせるデザインのある建造物で1つ、その場所に来た人には必ず行って欲しい観光施設を1つ、博物館や美術館で1つ…といった具合です。時にその場所ならではの特徴的な祭りや行事なども観光スポットとして取り上げられることもあります。

とはいえこの回では、全24箇所(6つのカテゴリ×4箇所)のうち、まだ取材候補地が決定しないグループもちらほら。ワークショップ終了後も神藤編集長の補修を受けるグループも見受けられ、白熱した回となりました。

 

取材そして原稿執筆、
そしてその場所を訪問したくなるような写真撮影。

2回目のワークショップからさらにまた約2ヶ月を経た11月9日(土)。この日の会場は下関市観音崎町にある「やまぎん史料館」。この日は、実際に参加者それぞれが掲載先を訪問して取材した原稿に、編集部による赤字校正が記入されたゲラ(レイアウト原稿)の状態で仕上がり手渡される回。

取材も原稿執筆もほぼ初めて…という参加者の皆さんが、一生懸命に考え、限られた文字数の中で悩みながら書き上げた原稿に、編集部からの厳しい赤入れ…。真っ赤な原稿を目前に、一瞬顔色が変わる(…ような気がしています)参加者の皆さんを見て、編集側として時に心苦しく感じるのですが、実際にこの場所に訪れていない第三者の視点が加わることで、より伝わりやすく魅力的な文章へと精度を上げていきます。

 

参加者ひとりひとりの原稿に、もっと書き加えたほうが良い内容や、コンパクトにまとめる部分をレクチャーします。

『d design travel』は、本文原稿とは別に、それぞれの特徴を表す3つのポイントとその補足原稿が記載されています。
このポイントと写真を見ただけで、まだその土地に足を運んだことのない読者の方が、実際に足を運びたくなるような、分かりやすさや魅力の伝え方が、文章をまとめる際の要となります。

 

ワークショップはこの回で一旦終了。とはいえ、参加者の皆さんの奮闘はまだまだ続きます。赤入れの原稿を何度も修正し、指定の文字数内に収め、その場所の魅力が伝わる写真を掲載するために再撮影のリクエストが編集部から出されることも。

完成した原稿は取材先への確認を経て、編集部で精査を重ね、ようやく一冊のタブロイドとして完成します。

 

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『d design travel WORKSHOP in 下関海峡エリア』号、ついに完成。