dSCHOOL「わかりやすい漬物」開催レポート

京都の大原にある「志ば久」さんへお伺いし、dSCHOOL「わかりやすい漬物」を開催しました。
志ば久さんは、赤紫蘇を毎年自家採種して種から無農薬で育て、その赤紫蘇を使ったお漬物や、旬のお野菜でお漬物作りをされています。


大原は山に囲まれた盆地で、気温の寒暖差が大きいため、葉が大きく香り高い赤紫蘇が育ちます。「志ば久」さんではその赤紫蘇を古くから毎年自家栽培し、その種で赤紫蘇を作り続けています。
毎年7~8月は赤紫蘇の年に一度の収穫時期。ちょうど収穫と出荷で大忙しになる時期ですが、今回はその収穫も体験させていただいて梅干し作りを行いました。

講師は、「志ば久」4代目の久保統さん。京都店のSHOPでは志ば漬などのお漬物を販売し、食堂のお食事でも提供させてもらっています。漬物のことだけではなく、時には人生のことも教えてくださるような、京都店のお兄さんのような存在です。
(下の写真では鍬を持って強面に見えますが、本当はとっても優しく人情味たっぷりの兄貴です。笑)

今回の作業は、大きく分けて、①赤紫蘇の収穫 ②葉を洗う ③茎から葉をもぐ ④もみ紫蘇を作る ⑤漬け込む の5つの工程を行っていきます。

まずは、赤紫蘇の収穫から行います。
「力はあまりいれず、根の下の方をのこぎりの要領で切っていく」という久保さんのアドバイスのもと実践していきますが、鍬を使うのが初めてという方も多くなかなか苦戦。私も力が入ってしまい、久保さんのように簡単には刈れず、、、。
よくスーパーなどで目にする赤紫蘇とは全く違う、葉が立派で芳しい香りのする赤紫蘇に、みなさん感激されていました。

収穫した赤紫蘇は、すぐに大きなたらいで水洗いを二度行い、雑草や土などを落とします。鮮度がとても大切なので、刈ったらすぐに水洗いをします。

次の工程へ移る前にしっかりと水を切る必要があるため、水切りをしている間にお昼休憩。大原のお野菜をたくさん使ったお弁当を特別にご用意していただき、志ば久さんのお漬物各種と、食後には久保さん特製の赤紫蘇ジュースまでご用意していただきました。

次第に雲が晴れてきた、大原の美しい景色を眺めながらのごはんの時間は、とても贅沢なひと時でした。

さて、ごはんで力を蓄え後半戦へ。
先ほどしっかり水切りをした赤紫蘇を、茎から1枚ずつもいでいきます。
指3本を使って葉を掴み、あまり力を入れずにとるのがコツで、そうすることで素早く葉の部分だけを取りやすくなります。下の方についている「おにば」と呼ばれる茶色い葉はアクが強いため除きますが、葉が小さかったり、多少虫が食っていても問題ありません。でも茎の部分はなるべく入れない方が、美味しい梅干しができるのだそう。

だんだんとコツを掴んできたみなさん、黙々と作業を進めていきます。
「みなさんカニを食べているみたいに無言になっていますよ!」と、久保さんのツッコミがはいりました。

次は、もいだ赤紫蘇を「もみ紫蘇」にします。
全体の重量の3%の塩を用意し、薄めの塩でゆっくり揉むのがポイントで、最初は全体になじむように少量をざっくりと混ぜ込みます。
そのあと残りの塩を入れ、赤紫蘇をほぐして上から力を入れてぎゅっと押し込む、という作業を赤紫蘇が細い糸状になるまで繰り返し行います。

このとき十分にほぐさないと、赤紫蘇の中までしっかりと梅酢が浸からず、綺麗な色の梅干しに仕上がらないそう。
次第にいい香りが広がり、だんだん水分がでて色も黒っぽくなってきました。
よく梅干し作りの教科書などに、「この段階で赤紫蘇からでてくる水分は、力を入れてぎゅっと絞る」と書いてあるそうですが、大原の赤紫蘇はアクが少ないので、軽く力を加えて絞る程度で十分です。絞りすぎると赤紫蘇の旨味や良い成分が出すぎてしまうので、久保さんは軽く2度ほどしか絞りません。

次は、このもみ紫蘇を、梅に15%の塩を入れて重石を乗せておいた梅と合わせていきます。10日程度置いた梅ですが、こんなにも水分がでていました。この水分が「梅酢」と呼ばれるものです。

梅の甘い香りがするので甘いのかな?と思いますが、梅と塩を合わせたものなので、味はしょっぱく、舐めてみて少しびっくりしました。

別の大きな樽を用意し、その中に密閉できるようにポリ袋を入れ、梅、赤紫蘇、と層になるように3層重ねていきます。そして、最後に梅酢を入れて中の空気を絞り、密閉します。

以上で、梅干しの漬け込み段階の、全ての工程が終了しました!
このあとは、約2週間以上漬け込んだのち、天気予報を見て狙った天気のいい日の3日間で、梅干しを天日干しします。

今回は手土産付きで、
①梅干しを持ち帰り、ご自宅で天日干しして完成させる。
久保さんに梅干しをお預けして完成させてもらう。その後、京都店でお渡し。
③去年漬け上がった大梅
から選んでいただいたのですが、参加者の半数以上のみなさんがご自宅で天日干しをしてくださる選択をしてくださって、とても嬉しく思いました。
天日干しをした後は、再び密閉容器(大きな瓶などである必要はなく、ジップロックのような簡易なものでもOK)の中に汁ごといれて寝かせ、お正月ごろが食べ頃になります。

その後、漬け蔵を案内していただきました。樽に浸かった志ば漬がたくさん並んでいて、7月のこの時期にしか食べることができない新漬けを、特別に食べさせていただきました。

新漬けは色がより鮮やかなピンク色で、さっぱりとしていて、食べてすぐに酸味を感じるのが特徴。それから徐々に色が濃くなり、味も落ち着き、食べて少しした後に酸味を感じるようになります。

茄子、みょうが、赤紫蘇、塩のみを入れた樽に重石を乗せ、乳酸発酵の力で志ば漬は作られていきます。ちなみに上に乗せている重石は、昔京都市内走っていた市電の軌道に使われていた石なんだそうです。

さて、私も今回参加させていただき、d食堂京都の梅干しを漬けてきました!
お盆までのお天気の日に3日間、京都店の外で天日干しをする予定です。
できた梅干しはどのような形で提供するかはまだ決めていませんが、食堂のメニューの中で提供する予定ですので、お楽しみにしていてください!