日本でのゴム底靴の発祥は“久留米の地下足袋”であるということをご存知でしょうか?
地下足袋の生産を契機にゴム産業のまちとして栄えた久留米で、140年以上もの間「履物」をつくり続けてきたムーンスター。
ムーンスターのスニーカーには、「眼鏡といえば鯖江」、「デニムといえば岡山」というように、「日本のスニーカーといえば久留米」として認知してもらいたいという願いを込め、あえてMADE IN JAPANではなく“MADE IN KURUME”と表記が入っています。
そして私たちは取材を通して、“MADE IN KURUME”の根拠を工場の仕組みに見たのでした。
それは、自社工場敷地内でゴム底靴に関わるほぼ全ての工程を完結しているという点。例えば、スニーカーに使用する布の加工、鋳物の足型の鋳造、ゴム底の調合と加工、中敷のロゴのシルクスクリーンでの手刷り、工場の機械の部品製造やカスタム・・・
こうして、通常なら外注するような作業から、靴の製造とは一見関係のないような作業までも、ゴム底靴をつくる過程で必要になればほとんどを自社で行う。それが、地域に住むたくさんの人たちの仕事と暮らしを支え、よいゴム底靴をつくりつづけることへ繋がっています。
地元の「久留米」に在り続け、人から人へと技術を受け継ぎ、徹底して自社で作り上げられるムーンスターの靴は、やはり紛れもなく“MADE IN KURUME”だと思うのです。
この企画展では、ムーンスターが久留米をゴム産業のまちとして発展させてきた歴史や工場の仕組みを展示。“日本のスニーカーといえば久留米”という認識が少しでも多くのひとに広まる機会となれば幸いです。
D&DEPARTMENT FUKUOKA 店長 阿部里奈
靴づくりのためならなんでも作ってしまうムーンスターの工場。その工場の様子や製造工程をご紹介します。また、足袋屋から始まったムーンスターの歴史を紐解く貴重なアイテムも展示いたします。
受注会開催
期間中、「FINE VULCANIZED」シリーズの受注会を行います。全ラインナップがご覧いただける貴重な機会です。ぜひお試しください。
MOONSTAR FINE VULCANIZED
140年間、靴を作り続けて培った技術と知識をもとに新しいゴムの表現を追求した「FINE VULCANIZED」シリーズ。ヴァルカナイズ製法という、生ゴムに硫黄を加え、熱反応させることで弾性や強度のあるゴムに変化させる化学反応を利用した製法によって作られます。ゴム底と布地の結合が強く丈夫で壊れにくい、接着と成型を同時に行うため形くずれしにくいのが特徴。
株式会社ムーンスター
1873年、つちやたび店として開業。たびの工業生産化、量産化に取り組み、新しい技術や機械をいち早く取り入れ、成功する。その後、ゴム地下足袋の商品化に成功。さらに幾多の改良を重ね、やがて布靴の生産を開始。地道に靴の技術に磨きをかけ現代へと続く靴づくりの基盤を築く。