アサギ椀展

かつて京都で日常使いされたという花鳥柄の黒塗り椀「浅葱椀(あさぎわん)」は、京都ならではの美を体現する、常の器でした。その精神を受け継ぎ、現代の課題を解決することを目的として、「アサギ椀」は生まれました。

 

現在、京都にロクロを用いて木工品を加工する職人「ロクロ木地師」は、たった一人しかいません。
漆器は、漆の木や木地となる木材を育てる人、採取する人、漆を精製する人、そして木地師と塗師など、漆や木の素材を生み出す職人が揃っていないと生み出せず、これらの技術を継承していかなければ、京漆器の技術が途絶えてしまうという現状があります。
その技術や文化を継承するため、日常使いの京漆器作りを通じて後継者を育て、次世代に繋いでいくプロジェクトとして、2018年に「アサギ椀 プロジェクト」が立ち上がりました。

京都の気候風土に根ざす材料で作り、工芸の素材と現代に暮らす人々との循環を作りたいという考えから、京都府産の北山檜や漆を使い、製造工程も一貫して京都で行っています。

 

展示期間中には「アサギ椀」を販売し、会期中の2日間、塗師見習いの方に漆器作りの一部を実演していただきます。

アサギ椀展

日程
2019/9/6(金)~10/8(火)
時間
10:00~18:00
場所
D&DEPARTMENT KYOTO

●お問い合わせ:075-343-3217(京都店)

塗師見習いによる実演
9/21(土)、10/5(土)
会期中の2日間に、塗師見習いの方にお越しいただき、漆器作りにおける工程の一部である「研ぎ作業」を実演をしていただきます。

アサギ椀 ラインナップ

アサギ椀 中(黒・朱)
各 14,300円(税抜)

アサギ椀 大(黒・朱)
各 17,000円(税抜)
(※在庫がなくなり次第、受注販売となります。)

プロジェクト立ち上げまでの経緯

京都市伏見区で漆器製造を営んでいた木地師(きじし)の石川光治さん(故人石川漆工房)が京漆器を次世代に受け継ぐために、京都で唯一のロクロ木地師(ロクロを用いて木工品を加工する職人)西村直木さんに「京都で日常使いされていた器を再現しないか」と話を持ちかける。しかし、その直後に石川さんは他界される。(2015年)
その後、一旦停滞した後の2018年。塗師(ぬし/漆を塗布する職人)の西村圭功(西村圭功漆工房)さんが、ロクロ木地師の後継者育成のために若い職人を自身で採用し、直木さんに育成してもらう手段として、「アサギ椀」プロジェクトが本格的に始動。

「アサギ椀 プロジェクト」メンバー

発起人: 石川光治(故人 石川漆工房)/西村直木(ロクロ木地師)
運営メンバー :石川良(石川漆工房)/堤卓也(堤淺吉漆商店)/西村圭功・西村洋子(西村圭功漆工房)
ロクロ木地師見習い:永井綾/上田量啓
塗師見習い:飯島勇介/後藤久美
写真:宮下直樹