73: 良い、悪い

最近、「良い、悪い」ってのを白黒はっきりつけるのは、良くないと考える人と会いました。その方は「良い食品」はあるのだろうけれど、そこからみた「悪い」が、みんな「悪い」わけではない。問題は「良い」って言う人がいることで、それ以外が「悪い」になってしまうことだと、話していました。共感しました。

僕は「タバコは嫌いだけれど、急にみんなで悪者にするのは気持ち悪いこと」だと書いてきました。最近、プラスチックも経年変化する味わいを感じられる素材なのではと思ってきましたが、現代社会のプラスチック製品を悪者にし始めている感じの独特な気持ち悪さを良くないなぁと思っています。あれだけお世話になってきたものを、急に「良くない」とするって、なんなんでしょうね。タバコと同様、悪いのは「所定の決められた場所に捨てない人間の意識」にあるのであって、ものには罪はないと思うのですね。そもそも「使い捨て」をやめたらいい。

理屈から「良い」っていう定義出しはできます。でも、それ以外が「悪い」わけではないし、「良い」だけが「良い」わけでもない。

「良い」「悪い」を突き詰めていくと、必ず戦争になります。なってきました。戦争になるくらい、「良い」「悪い」をはっきりさせることって、ダメなことなんじゃないかと思います。

「GOOD DESIGN」って、だんだんしんどくなってきました。その考え自体が高度経済成長感から抜けきれない企業の量産臭がする。「多様性」ってあんまり好きな言葉ではありませんが、「GOOD」をこれだ!!って決めてしまうことのダサさって、割とあると思います。そういう意味で、「LONG LIFE DESIGN」の方が、「GOOD」ではない分、奥行きがあると思うのです。

昔、グレて不良だった人ほど、大人になって人情熱い人になったりすること、よく聞きます。バッドもグッドになる。その両方があるから、世の中って成立しているんじゃないかと思うのです。