スタッフの商品日記 019 conteやくさじ計量スプーン

かゆいところに手の届くディティール
初めて「やくさじ」を使った時に、これまで既存の計量スプーンを使って感じていたストレスが解消されて、嬉しくなりました。随所にこらされている工夫のひとつひとつはさりげなく、ちょっと見ただけでは分からないのですが、その積み重ねによってとても使いやすい道具になっているのです。料理する人でなければ思いつかない工夫の数々です。

つづく仲間
そんな調理道具を生み出しているのは、新潟県燕市のブランド「conte」です。金属加工メーカー「一菱金属株式会社」の江口広哲さんが、ある見本市に出展した際に、見本市の企画に携わっていた日野明子さんと出会ったことが全てのはじまりです。「ひとり問屋」としても活躍されている日野さんは、燕市のものづくりが気になっていたこともあって、後日フラリと一菱金属の工場見学へ。そこから縁が生まれ、江口さんは日野さんに、新たなブランド(conte)を立ち上げる際に協働いただけるデザイナーさんを紹介してもらいたい、と依頼します。そこで日野さんから紹介された小野里奈さんがプロダクトデザイナーとして迎えられ、日野さんもアドバイザーとしてチームに加わり、新しいものづくりのプロジェクトが始動しました。

そんなconteブランドの第一号は「まかないボウル」。ボウルとはどこの台所にも一つはある一般的なもの、かつ、ある程度は形が決まっている調理道具ですが、燕市の職人さんたちの技術の組み合わせを生かしたデザインにより、それまでにないステンレスボウルの名品が誕生しました。「まかないボウル」については、こちらの記事でご紹介しています。
スタッフの商品日記004 conteまかないボウル

この「まかないボウル」は、国際的なコンペティション“iF design award 2018”で、「革新的な技術」や「高い機能性」がバランスよく合致したデザインであることが評価され、「日々の暮らしで使いたい美しいボウル」として、全エントリー点数のうちおよそ1%だけが受賞となったゴールドアワードを受賞しています。(写真はドイツで開催された授賞式の時のもの。左から小野さん、日野さん、江口さん)

つづく環境
ステンレス加工の一大産地、燕市では、長きにわたって分業体制でものづくりがおこなわれてきました。数ある工場がそれぞれの得意分野の工程を担うことで、ひとつの製品ができあがります。しかし、産地全体で工場も職人さんも減っているという現状があります。

一菱金属は主に業務用の厨房用品を製造して問屋へ卸してきた金属加工メーカーですが、江口さんが家庭用品のブランドとしてconteをはじめたのは、新しい販売ルートを開拓することで、職人さんの工賃体系を底上げてしていきたい、という想いもあってのこと。作る製品を家庭用品にしたのは、家庭用なら既存の業務用商材とバッティングすることがなく、地元の問屋さんにも迷惑をかけることなく、ものづくりの環境をより良くしていけるのではないかと考えたからです。

つづく暮らし
「やくさじ」には計量器具としての高い完成度がありながら、使う人が自由に便利な使い道を編み出せる、そんな余地があります。「柄が長い」という特徴ひとつだけでも使い方の幅が広がり、計量以上の仕事をしてくれます。例えば…

・ 柄が長いので、調味料を計量したスプーンをそのままボウルや鍋へ。別の道具に持ち替えずに計量した手でかき混ぜることができ、作業効率がぐんと上がります。

・ 袋の奥まで手を入れずとも粉物をすくえるので衛生的ですし、手も汚れません。

・ 柄が短い計量スプーンは手を離すとボウルの中で倒れてしまいますが、「やくさじ」は柄が長いことで、小さめのボウルにも入れておけます。これは軽いボウルではおすすめできませんが、底が厚く安定性に優れた「まかないボウル」であれば、一番小さなサイズのボウルでも入れたままにしておけました。柄が平たいので「まかない丸バット」やラップで蓋しても邪魔になりません。マリネを食卓に出す直前や、ドレッシングをサラダにかける直前など、再度かき混ぜたい時などに便利です。

・ 長さがあるので、菜箸や木ベラと一緒に容器に立てて入れることができます。

また、一般的な計量スプーンと比べてさじの部分は浅めになっているので、洗いやすくて拭きやすく、衛生的です。そしてマヨネーズや味噌など粘性の高い調味料も、比較的スプーン離れが良いです。5mlタイプはさじの横幅が約3.5センチ。小径の調味料やジャムなどの瓶にも入りやすく、すくいやすい大きさです。

このほかにも、安定した状態で測りやすいさじ角度、持ちやすいよう少し内側にカーブし、邪魔にならない厚みの柄、粉物が付着しにくいつや消し仕上げ、二本あれば片方の柄ですり切りできる…など、細部にわたって料理人への心遣いを感じます。聞けば、デザインを手がけた小野さんは普段の生活の中でも料理に親しんでおられる方とのこと。納得です。

2種類あり、5mlタイプは小さじとして、15mlタイプは大さじとして使えます。我が家の台所に加わったのはつい最近のことなのですが、既にフル活用しています。これから末長く、前線で活躍してくれそうです。

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