2010年2月25日 11:09更新
銀座松屋でD&DEPARTMENTの毎年の企画展「NIPPON VISION」の3回目企画展がはじまった。「NIPPON VISION」とは、若い視点で日本を深く学術的、専門的ではなく、若いカジュアルな視点で伝統やムーブメントを47都道府県から拾い上げて、眺め、日本を感じる企画展である。
企画展の考えからいくと、どうしても規模的にもあまりカジュアルとかいっていられないところもある。しかし、どうしてもこの手のテーマになると、専門家がでてきてしまったり、例えば、なにかものを作っても、本物でありたいがために、ものすごく高価なものになって、結局、「生活品であっても、装飾品にしかならない」価格、仕上げになる場合がおおい。この企画展では、「日常は日常」という考え方で、なるべく専門的な見せ方をしないようにもがんばっている。
3 回目のテーマは「観光」。日本じゅうの観光要素、例えば電車やパンフレット、旅館やホテル、おみやげなどがどれくらい「デザイン」されてきているかを感じてもらう企画である。デザインと言うと、なにかつべこべいいたくなるけれど、つべこべ言わずに見る。そして、感じてもらいたいのである。
当初、僕らは多く集めた展示物を「ポスター」「パンフレット」「Web」「サイン」などとわけて展示しようとしていた。よく考えると一般の人はこんな仕分けでは見ない。電車に乗ったら、「おぅ、最近の電車はおしゃれだね」と感じ、そこで売られている駅弁を買い、パッケージもデザインされていることにセンスを感じ、駅に降り立ち、そこもセンスよくまとまっていて、看板の文字も場所にあっている。これら一連のなにげない流れを尊重することが重要であって、これをひとつひとつ、看板は「サインデザイン」、駅弁は「パッケージデザイン」と当初、わけて考えていた。
後になって、スタッフと話し合っていくうちに、こんなことに「これはおかしい」と思いはじめ、「建築」「おみやげ」「ホテル」などの一般的なものに、仕分けした。
そもそも、デザインは過保護すぎだ。パンフレットのデザインも「パンフレット」という枠の中に入れてあげる過保護さで、現実のことがらを免れる。デザイナー向け、専門家向けの例えば「サイン計画」の事例を集めた年鑑をみると、きれいに記録写真がとられ、なにやら賞も受賞しているものに限って、実物を見に行くと駅長によってマジックでそこらへんの紙に大きく書かれた「トイレ→」みたいな手作りサインが補強されていて、プロの仕事の非力さを感じる場面は、日常のいたるところにみられる。
デザインは仕分け、分野分けすることで、美しくみえすぎる。現実の中にあるそうしたデザインは、雨風にあたり、機能しなければ散々に手をくわえられ、一連の街や経済の流れ、人の流れの中のたった一部にすぎない。
本当は、今回の展示ももっともっと入り乱れる必要はあった。そこは少しだけ「デザイン」寄りにしている。
今回の企画のために、約2週間で日本じゅうから集めた。おそらく、プロ中のプロがみると、展示の仕方も、ものの選び方も浅いとおこられそうなことは、なんとなくわかっている。僕はあまり専門家にはなりたくない。専門知識を持っていることで、また、業界に属しすぎることで、見えなくなってしまうことや、出来なくなってしまうことがイヤなのだ。今、機能しないデザインが多いと感じる。それは、デザイナーが生活者でもあることを、机に向かいすぎて忘れてしまうからだ。
デザインの現実はそう甘くはないだろう。だからこそ、インスタントでありながら、デザインの今を瞬間に集めた「NIPPON VISION」は、これからも意義深く思って続けて行こうと思っている。
今、建て売りの住宅にも異変が起こっている。デザイン性の高い47都道府県発の小さな住宅メーカーが考えるデザインがあることなど、実はあまりしられていない、とか。
僕らD&DEPARTMENT PROJECTが、トラベル誌をどうしてデザイン視点で発刊したか、その理由を少し感じてもらえたらうれしく思います。
最新のiphoneでのトラベルアプリの展示もしています。