D&Department

D&DEPARTMENT ネットショップへ

20180212_top

土人形の絵付けワークショップ レポート<前編>

2018年2月15日 公開

現在開催中のD&DEPARTMENT TOYAMA GALLERY「うしとうそ -とやまの土人形-」。富山出身のグラフィックデザイナー・宮田裕美詠さんの視点で、古くから富山に伝たわる土人形の魅力を捉え直し、紹介する企画展です。

今回の展覧会では、富山に古くから伝わる土人形を継承する「土雛窯」の土人形を多く紹介しています。

富山の土人形のこと、土雛窯のことを知って頂こうと、土人形の絵付けを体験するワークショップを開催しました。

2回に分けて開催されたワークショップの、1回目の模様をレポートします。


■富山の土人形と「土雛窯」
江戸時代、第10代富山藩主・前田利保が産業復興のため、尾張から陶器職人を招いたことから始まったとされる富山の土人形。富山では、子どもたちの玩具としてだけでなく、天神様信仰の拠り所として、また、神社の神事などにも土人形は重宝されてきました。(詳しくは、店頭でもご紹介している書籍『うしとうそ』をご覧下さい。)

20180212_17

時代の変化とともに、作り手が減少する中、富山の土人形の魅力に魅せられ、その技と形を残そうと、今も伝統の土人形を作り続けている方々がいます。

その作り手のひとつが、「土雛窯」。富山出身の女性達があつまり、25年前に土人形づくりをスタートさせました。現在は、古川圭子さん、藤田清枝さんのお二人で活動されています。今回のワークショップの先生は、このお二人です。

20180212_1左が古川さん、右が藤田さん

■膠(にかわ)と泥絵の具による伝統的な絵付け
今回のワークショップ、絵付けのワークショップですが、2回に分けて開催しました。絵付けだけなのに、なぜ2回?と思われるかもしれませんが、ここが今回、いちばん参加者に体感して頂きたかったポイント。

土雛窯が作る土人形の特徴のひとつが、絵付けの技法です。今、多くの土人形が速乾性のあるアクリル絵の具を使って絵付けされていますが、土雛窯では昔ながらの「膠(にかわ)」と「泥絵の具」を使った絵付けを、今も続けています。展覧会を企画して下さったグラフィックデザイナーの宮田裕美詠さんも、この膠と泥絵の具の絵付けに魅せられたひとり。

20180212_3左が膠と泥絵の具による絵付け。独特の風合いがある。右はアクリル絵の具による絵付け。細かな模様が入れられるのも特徴。

私も、この絵付けを体験しましたが、とにかく準備に時間がかかる。チューブから絵の具を出してすぐ塗ることが出来るアクリル絵の具と違い、膠と泥絵の具を使った絵付けは、下準備や乾燥に、数十倍もの手間と時間がかかるのです。

しかし、古川さん、藤田さんは、揃って膠と泥絵の具でなければ表現できない風合いを伝えていきたい、と伝統的な絵付けにこだわり作っていらっしゃる。きっと展覧会を見て下さった方も、この伝統的な絵付けの良さを実感して下さるはず。ならば、この絵付けのことを、もっと深く知って頂き、作り手の思いに触れて頂く機会を作りたい。そんな思いで、伝統的な絵付けのワークショップをやろう!と決めました。

最初に土雛窯のお二人にお話したところ、絵付けのワークショップは開催したことがあるが、膠と泥絵の具の絵付けは、ワークショップでやったことがない、とのこと。しかも、重ね塗りが必要なため1回では終わらない。手間はかかるが地味な作業も多く、ワークショップにして大丈夫?という意見もありましたが、きっと、私たちのお客様なら、この手間を楽しんで下さるはず!と、思い切って2回に分けてのワークショップ開催を決めました。

募集を開始すると、数日で満席になる盛況ぶり!なかなかない機会ということもあり、お客様も楽しみにして下さっていました。

20180212_2大雪にも関わらず、参加されたみなさん。真剣です。

■土人形の作り方
1回目は、絵付けの下準備である「胡粉塗り」を行います。

作業の前に、まずは、富山の土人形の歴史のことや作り方を古川さん・藤田さんに教えて頂きました。富山の土人形の歴史や文化については、「『うしとうそ』出版記念トークイベント「うしとうそのうら」レポート」に書きましたので、ここでは土人形の作り方を簡単にご紹介。

土人形は、大きく5つの工程で作られます。

1. 原型づくり
まずは粘土で、イメージする形よりも一回り大きい形を作ります。

2. 土型づくり
次に、原型に粘土を押し当てて型をとります。

3. 型づめ
2で作った方に、粘土を詰めて土人形の形を写し取ります。

4. 乾燥・素焼き
型から外した粘土を、2日から1週間程度、乾燥させた後、窯で焼き上げます。

5. 絵付け
素焼きした土人形に、膠で溶いた胡粉(貝柄をすりつぶした白い粉)で、白塗りします。2〜4回重ね塗りし、真っ白になったら、最後に膠で溶いた泥絵の具で色を付け、完成。

20180212_4土人形づくりの工程を、実物を見せて頂きながら教わりました。

今回、ワークショップで行うのは、最後の絵付けの工程だけ。それでも、1回のワークショップでは終わりきらない作業量です。

■土人形選び
作業に移る前に、絵付けをする土人形を2つ選んでいただきました。古代犬や、うそ、にわとり等、展示でも紹介している古い形を用意。

20180212_5

こちらが胡粉を塗る前の素焼きの土人形。土の色そのままです。ここから、胡粉を塗り重ねて真っ白にしていきます。

■「胡粉塗り」工程① 膠を切る
お気に入りの土人形を選んだら、作業開始!まずは、胡粉に混ぜる膠を準備します。棒状の膠を細かく刻んで、溶かしやすくするところから。
20180212_16こちらが膠。

これがとっても固い!!男性でも、かなり力を入れないと切れません。大きくカットすると溶かすのに時間がかかるので、できるだけ細かく切りたいところですが、細かく切るのも、かなり大変な作業です。

20180212_6切った勢いで膠が飛び散らないよう、袋の中でカットしていきます。

カットした膠は、お湯に入れて溶かします。固まりの大きさによりますが、完全に溶けきるまで、30分〜1時間ほど。

20180212_7

■「胡粉塗り」工程② 胡粉を練る
膠が溶けたら、胡粉を練ります。乳鉢に胡粉を入れて、小さな匙でひと掬いずつ、膠を足して行きます。

あとは、ひたすら乳棒で練る。

20180212_8

練る。

20180212_9

練る。

20180212_10

意外と力がいる作業なので、2人一組で、交代しながら練って行きます。この時、ダマになると、塗ったときに土人形がブツブツのニキビ顔になってしまうので、膠はちょっとずつ足していきます。ちょうどお菓子を作る作業のよう。

気の遠くなる作業ですが、だんだんと変化が!

20180212_11
最初はボロボロだったら胡粉が、固まるようになり、さらに練ると艶が出てきました。滑らかになって、とろとろになれば、完成です!

ここまでたどり着くのに、掛かった時間は約1時間!参加者からはぼそっと「腕が疲れた、、、」との声が。大変でしたよね、でも、それを体験して頂きたかったんです。すみません!

■「胡粉塗り」工程③ 胡粉を塗る
こうして出来た胡粉を、ようやく土人形に塗って行きます。塗る前に、土人形の凹凸をカッターで整えて滑らかにします。

20180212_12

1回目に塗るときは、土がぐんぐん胡粉を吸っていくので、筆ではたき込むように塗っていくのがコツ。

20180212_13

乾燥してくると、空気の穴がポツポツ浮いてくるので、丁寧につぶすように重ね塗りをして行きます。

全部塗り終わった!と思ったら、意外とくぼみの部分が塗れていないことも。古川さん、藤田さんに教えて頂きながら仕上げていきます。

20180212_14皆さん真剣そのもの。

均一に塗り終えたら、今日の作業はようやく終了です!参加者の皆さん、本当におつかれさまでした。

20180212_15

今回のワークショップでは、胡粉塗りは1回だけでしたが、本来はしっかり乾燥させ、もう2〜3回同じ作業を繰り返します。

土人形の価格は、1体300円〜1,000円ほど。ワークショップの参加者からは、この価格に書けられている手間と時間に、とても驚かれていた様子。

伝統的な絵付けの良さを残して行きたいという古川さん、藤田さんの思い。一端でもその作業に触れてみると、この思いがいかに強いものなのか、深く伝わってきます。

2回目は、いよいよ彩色の作業です。今は真っ白な土人形たちが、どんな仕上がりになるのか楽しみです。

続きは、後編でレポートしますのでお楽しみに!
 
 
D&DEPARTMENT TOYAMA 進藤