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【d design travel TOYAMA スペシャルツアー】レポート②

2017年11月27日 公開

『d design travel TOYAMA』号を発刊してから4年。ついに、編集長と一緒に『d design travel TOYAMA』号で特集した場所を巡るツアーが実現しました。

今回は富山県美術館で行われる「国際北陸工芸サミット」の開催時期に合わせて企画が実現したもので、富山のデザインとものづくりを感じるをデザイントラベルとなりました。

1泊2日のスペシャルツアーの様子を、ご紹介します。


■2日目

天気予報では「雪」マークでしたが、日頃の行いが良いからか!?ちらっと晴れ間も見える天気に。(1日目の様子は、こちら

最初の訪問先は、富山売薬の歴史を伝える「池田屋安兵衛商店」。

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お店に入ると、早速、スタッフの方が富山売薬の歴史を紹介してくれました。

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中心にある機械は、昔、丸薬を作ったもの。ところてん方式で押し出された薬の種を、テーブルの上で器用に丸めていきます。体験させてもらうと、意外と、均等に丸めるのは難しい。上手に丸められると、富山売薬のおまけの定番「紙風船」がもらえるとのこと。

次ぎの訪問先へ!とその前に、、参加者からリクエストのあったお店に寄り道することに。立ち寄ったのは、「石谷もちや」。

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富山では、「あやめ団子」という黒糖の蜜をたっぷりかけたお団子が、みたらし団子と並んで人気で「石谷もちや」は、その名店のひとつ。

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皆さん、朝食を食べた後にも関わらず、こぞって「あやめ団子」を注文。つきたての「あやめ団子」は、まだあたたかく、柔らか!甘いもの好きのナガオカ編集長は、「あやめ団子」だけでなくおはぎも注文していました。

寄り道の後、向かったのは八尾にある「桂樹舎」。和紙の産地であった八尾で、唯一、今でも手漉きの和紙づくりを続けている工房です。

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この日は、「忙しいから工場見学はできないよ」と事前に聞いていたのですが、無理をお願いして工房を覗かせて頂きました。しばらくすると、社長の吉田泰樹さんが来てくださり(!)、和紙作りの工程を皆さんに解説して下さいました。

20171125_23絵桂樹舎の吉田泰樹さん

参加者の興味を引いたのが「黄蜀葵(とろろあおい)」。和紙を漉きやすいように、原料の楮(こうぞ)に混ぜて粘りを出すもので、見せて頂くとタンク一杯にどろっとした緑の液体がたくさん。

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黄蜀葵は、暑いと傷んでしまうため、昔は冬にしか紙漉きが出来なかったそう。今では、保存技術が進み、夏でも紙漉きができるようになったそうです。

吉田さん、忙しい中ありがとうございました。

 

あっという間に時間が過ぎ、お昼の時間。先ほど、あやめ団子を食べたばかりなのに、お腹はすきます。

2日目のお昼は、お待ちかねのお寿司。富山の名店「寿司栄」へ。 鰤に、白エビに、蟹・・・富山の旬が詰まった10巻を堪能。

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そして、最後の訪問地、「富山県美術館」に向かいます。

富山県美術館は、今年8月にオープンした、アートとデザインを繋ぐことをテーマにした新しい美術館です。

今回は、特別に副館長である桐山登士樹さんに、館内と現在開催中の企画展「富山県美術館開館記念展 Part 2 素材と対話するアートとデザイン」をご案内頂きました。

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富山県美術館は、建物自体に富山を感じられる様々な工夫がされています。木材をふんだんに使った暖かみを感じる館内には県産材が使われていたり、立山連峰を見渡せる開放感ある窓等、何も用がなくても訪れたくなる空間です。

20171125_27ツアーの日はあいにくの雨で、立山連峰は見えませんでした。

展示室に移動すると、まず出会うのがエマニュエル・ムホー作《COLOR OF TIME》。富山の日没を示した数字に、夕闇から朝焼けを思わせるグラデーション。圧巻の作品。

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この後の展示も、ひとつひとつ見応えがあり、時間が足りません、、、。期間中に、もう一度ゆっくり訪れなければ、と決意して、後ろ髪を引かれつつ、最後のトークイベントに向かいます。

旅の締めくくりは、カリスマバイヤー山田遊さんと、ナガオカケンメイによるトークイベント。「富山のデザイン、ものづくり」について、山田遊さんにお話を伺いました。

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山田さんは、国立新美術館の「スーベニアフロムトーキョー」を初め、バイヤーとして数々のプロジェクトを成功に導いて来られた方。富山では、「幸のこわけ」の開発などプロジェクトに携わっていらっしゃいます。

まずは、最近、山田さんが携わっているお仕事を伺いました。

印象的だったのは、佐賀を代表するお菓子「丸房露」を作る「鶴屋」のお仕事。「鶴屋」は丸房露の元祖の店として知られていますが、近年は業績不振が続いていたそうです。そこで、山田さんにご相談があり、考えられたのが「丸房露のためのアイスクリーム」と「丸房露のためのマーマレード」。キャッチーな感じがしますが、実は、佐賀が古くからヨーロッパの文化にいち早く触れた土地柄であることや、「鶴屋」に伝わる古い記録の中にあったレシピを再現するなど、その土地とのつながりからしっかり考えらた商品です。

山田さん曰く「自分はデザイナーではないので、商品そのものには手を入れずに、周辺で企画を考えるようにしている」そう。そして、この丸房露の仕事だけでなく、関わった多くの仕事で「お土産」がひとつだったとお話して下さいました。

例えば、最近手がけた城崎温泉にある温泉旅館のセレクトショップの仕事では、これまで取扱いのあった商品のうち、地元に関連のないものを省いて「その土地らしい」お土産に絞り、商品数を3分の1に整理したそう。大胆に商品数を少なくしたにも関わらず、売上は以前と変わらない実績をあげているそうです。

本来、「お土産」は、その土地を訪れた記念に、その土地らしいものを持ち帰るもの。しかし、現在の土産物屋では、売れるという理由で、その土地で作られていないもの、その土地と関係ないものが売られていることが多い状況です。

山田さんは、「真っ当なお土産はその土地の文化を伝えるもの。真っ当な土産物屋は、産地を支える役割ある」とお話され、このツアーを通して様々な作り手に出会ってきた私たちにとって、とても考えさせられる内容でした。

最後に、ナガオカ編集長から山田さんへの質問として「富山らしさ、富山がもっとこうなったらいいと思うこと」を伺いました。

山田さんは、「富山の印象は水の清らかさなど自然を背景にした清潔感があり、整えられている感じがする。また、高岡のようなものづくりの産地に大学があり、若い人が集まってくる環境も強み。さらに、富山県美術館のポスターコレクションをはじめ、他の県にはない「デザイン」への取り組みの実績がある。そういった資源があるのだから、都市に気後れすることなく「デザインの中心地は、富山だ」と言い切ってしまうことが大事ではないか。」と答えて下さいました。

富山はデザイン県とよく言われます。ただ「デザインの中心地である」となると、また発想が変わってくる気がします。あえて言い切ることで、外へ自分たちの特色が伝わりやすくなるだけでなく、自分たちの考え方を変えていくこと、それが大事なのだと感じました。

最後は、「D&DEPARTMENT TOYAMA」にて、旅の振り返りを。参加者それぞれに、旅で印象に残ったこと、感じたことを話して頂きました。

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どの参加者も、いちばん良かった場所はひとつに絞れないほど、どれも印象深かったこと。今回のツアーで出会った現地の皆様や、一緒にツアーに参加した方々など、人との出会いが良かったと話して下さいました。中には移住先として富山のことを検討してくれる方も!

何より嬉しかったことは、「本で読んだ場所を実際に訪れて満足」、で終わってしまうのではなく、その場所の方と話し、繋がったことで「またもう一度来たい」、という動機がより明確に強くなったと話してくださったこと。

内容の濃い2日間でしたが、お伝えできなかった魅力がまだまだあります。ツアーに参加して下さった皆様だけでなく、このレポートを読んで下さった方も、ぜひ、富山に足を運んでくれたら嬉しいです。富山にて、お待ちしています。

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D&DEPARTMENT TOYAMA 進藤仁美