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嘉麻市立織田廣喜美術館

  1. 凄まじくもユーモア溢れる、地元出身の 画家・織田廣喜(1914~2012)の美術館。 太宰治ら、文士を多く撮った写真家・林忠彦と交流が深く、林が撮った、彼の制作風景や家族写真の展示も素晴らしい。
  2. 画家の故郷にあり、山々や大空が雄大な、素晴らしい環境にある。 18歳で上京して、98歳で亡くなるまで、ほとんど嘉麻市にはいなかったが、心の中には、ずっと「故郷」があり、嘉麻風景を繰り返し描いた。
  3. 建築は個性的で、グラフィックデザインは秀逸。 織田が被っていた帽子をシンボルマークにした、パンフレットのキーカラーの赤は、彼が多く描いた帽子の色。

心に沁みる強烈 僕は、大好きな青木繁、そして坂本繁二郎らを差し措いて、この美術館で鳥肌が立つほど感動した。「嘉麻市立織田廣喜美術館」は、子供達がボールを蹴って遊んでいる芝生広場が前庭の、赤と白の壁の建築。低い山々に囲まれた、美しく、心からほっとできる環境にある。小作品だけを集めて時系列に展示した、最初の展示室を見て、第二展示室へ。画家が得意としたピンクグレー色の厚いカーペットの中央に、真っ白なグランドピアノが置いてある。壁には、傑作『ほたる(1982年)』をはじめ、最大600号の大作がズラリと掛けられている。織田は、東京・上高井戸時代、板や棒切れを集めて手造りで建てた、家族三人で暮らす自宅兼アトリエには電灯がなかったため、近所の草の上で、太陽の下、麦わら帽子を被って大作を描いていた。そうして描いた絵を、織田が描いた時の印象に近づけたいと、第二展示室は高い天井から自然光が降り注いでいる。絵の具が混ざりまくって、色彩は濁りまくっているのに、絵は夢の中の景色のように美しい。絵を見つめていると、時間も空間も超えて、会いたいけれど会えない人に会い、行きたいけれど行けない場所に行ける。「地方の美術館のコレクションは地酒みたいなもの」と職員の有江俊哉さんは言う。クセが強烈で飲みたいけれど飲めない酒もある。だからこそ、時として心を根幹から震えさせる出会いがある。ここは、まさに〝そんな酒〞がある美術館だ。(空閑理)