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福岡市美術館

  1. 「大濠公園」の中にある。 展覧会の内容に限らず、皆、繰り返し立ち寄る、福岡市民に愛されている憩いの場。
  2. 故・前川國男建築の真骨頂。 1979年に開館、赤茶色の外壁が公園の樹々の緑と鮮やかに対比しながらも、その中に融け込むように建つ、素敵な美術館。
  3. 青木繁、古賀春江、坂本繁二郎、柳幸典 古美術品も、国内外からの寄贈で充実の内容。特に、常設展示の、「東光院」伝来の2 組の十二神将像は必見。

市民美術館の草分け 福岡市民にとって、最も親しみ深い美術館「福岡市美術館」。僕にとっても、これまでの人生で最も多く訪れている美術館で、中央区の「ボーダーラインレコーズ」で覚えたアンディ・ウォーホルの『エルヴィス』は、ここで初めてオリジナルを見た。前川國男設計の美術館で、福岡市に住んでいた一二年前、僕は、この建築の特長の、赤煉瓦風の外壁を、安藤忠雄氏のコンクリート建築や「SANAA」のガラス建築に比べて、古臭い建材と思っていた。だが、今、よく見ると、煉瓦造りに見える外壁は「打ち込みタイル」と呼ばれる物。前川建築独特の基礎コンクリートと一体型の工法で、極めて堅牢。開館から三五年が経った今も、まったく古びていない。しかも、光が虹色に反射していて、陽の傾きによって、周辺の樹々が影を落とし、木漏もれ陽が燦めいて、実に美しい。二階ロビーには、のんびりと休憩できるように、赤茶色の革張りの椅子が沢山並んでいる。見上げたアーチ形の天井は、むき出しのコンクリートだが、丸い小石が鏤めてある。照明は、この美しい天井に光を向けていて、やわらかな灯りが、とても落ち着く。展示室の床も赤茶色に統一され、窓の向こうには、ゆったりと枝葉が揺れるのが見える。「大濠公園」の柳や楠や松の緑色と床の色との対比が、実に鮮やかだ。「福岡市美術館」は、一人の福岡市民だな、と僕は思った。僕たちと同じように、「大濠公園」の美しさを楽しんでいるのだ。(空閑理)

※本文の内容は「d design travel FUKUOKA」掲載時(2014年)のものです。
※福岡市美術館は、2016年9月より改修工事のため休館中。リニューアルオープンは2019年3月予定。