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kusaka

鞄工房 日下公司

  1. 独学で築き上げた信頼と高いクオリティ。入店にはお客であることに「本気」が求められる。

皮革には大学時代に現代美術の一素材として出会った。それから独学で鞄作りの技術を習得し、今やその品質は全国のファンが認めるところ。「いつか鞄資料館を開きたい」と夢を語ってくれたように、店内両壁には商品の鞄と革小物、そして資料となる昔の鞄や書籍が整然とディスプレイされている。正面の作業台に向かう日下功二・弘子さん夫妻は「いらっしゃいませ」の一言の後、また黙々と作業に没頭する。もちろん、お客が商品について尋ねれば丁寧に応対してくれるし、10年、20年と付き合えるように最適なメンテナンスの方法も教えてくれる。だが2008年の冬から、経営的には安定するはずのフルオーダーの依頼を断るようにした。「季節ごとに変わっていく流行ものは作りたくないなって。自分たちが本当に使いたいものだけを作って暮らしていきたいんです」。そう話す日下さんに理想の店の姿を聞いてみた。「ある程度入りにくい店です。言い換えれば、お店もお客様も本来は対等な関係のはずだし、そこに生まれる緊張感というような空気を大切にしたい。本気で自分たちの商品を勧めたいから、接客だって真剣です。だからお客様にもしっかりと真面目に商品を見てもらいたいんです」。決して店の敷居を高くしている訳でもおごりがある訳でもない。ただ、全神経を集中して作る商品だからこそ、お客にも本気で向き合って欲しいと願うシンプルな思いがあるだけだ。今となっては希有とも言える、本気でお客であることが求められる店だ。(三浦正嗣)