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宮田織物「わた入れはんてん」あたたかさの秘密

2017年10月21日 公開

10月14日(土)、宮田織物さんによる「わた入れはんてんをつくるワークショップ」を開催しました。わたしも一緒に参加させていただきましたので、宮田織物さんの魅力をレポートでお伝えしたいと思います!

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まず会のはじめは、宮田織物の吉開ひとみ社長から宮田織物のいままでの歩みと、織りについてお話しいただきました。

宮田織物は、大正二年に久留米絣の里である筑後市で設立された創業100年を超える老舗店です。昭和33年に、小幅織物の久留米絣の製造に加えて、広幅織物の織機(しょっき)をいち早く導入し、作業着の縫製(ほうせい)など時代の流れに合わせてものづくりを行なってきました。宮田織物の特徴である生地織りから縫製までを自社で全て行う一貫生産体制はここから始まりました。袢天を作っているメーカーだとお思いの方も多いのではと思いますが、実は袢天の布も織っているのです。

綿入れ袢天は昭和40年に始まり、昭和48年にはオイルショックによって生活に必要な石油が高騰し袢天の需要が飛躍的に伸びていき、昭和60年代には最盛期を迎えその出荷数は約50万枚と、日本一の生産数を誇っていたそうです。実際に、店頭でも昔着ていた袢天のネームロゴが宮田織物さんだったというお声をよく耳にします。

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宮田織物は袢天の生地織りからデザイン、縫製までを全て自社で一貫して行なっているのですが、衣料品の製造でここまで自社で一貫して行なわれるのはとてもめずらしい体勢でもあり、敢えて、そうしたものづくりの仕組みを貫いてきたことによって、宮田織物のものづくりからはメーカーでありながら、まるで昔の家庭でおこなわれていたようなごく小規模な手づくりのあたたかさを感じることができます。

次にお話しくださったのは織りの工程について。

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まずは整経(せいけい)。整経の作業では、織物の設計に合わせて経糸(たていと)を並べます。多いものになると6000本にもなり、糸1本1本を手作業で設計通りに並べていきます。

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次に引き込み。2人1組で設計図を確認しながら手作業で糸を通していきます。宮田織物のオリジナルの生地作りには欠かせない大切な工程です。

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次に織布(しょくふ)。引き込みでセットした経糸を織機に据え付けて緯糸(よこいと)を通します。

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織機はパンチングカードの指示で経糸が上下して、緯糸が柄を出していきます。

様々な工程の中で、とくに私が驚いたのは引き込み作業の繊細さ。

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引き込み作業とは織機に緯糸をセットするための準備をする工程。織物は経糸と緯糸が交差することによって形になりますが、この引き込み作業で緯糸が入る道を作っていきます。緯糸が入っていくことにより織物に柄が現れます。柄を出すための設計図を見ながら2人1組で数千本(3000〜5000本の糸)を手作業で通す工程は、糸の数が増えれば3日間ほど掛かってしまう労力と集中力、技術が必要な作業です。この作業は一般的には機械で行うところもありますが、宮田織物はなんと手作業で行なっています。

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この作業を手作業で行うことにより、ジャガード機のような正確さはないものの、意図せずに現れる揺らぎや滲みなどの、味わい深く繊細で複雑な美しい柄を織ることができます。なんだか久留米絣の精神にも通じるところがあるなと思いました。元久留米絣の織元というDNAは今もきちんと受け継がれているのですね。

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ちなみにただいま、実物大の半分の引き込み台を福岡店のギャラリーにて展示をしています。これでも十分に糸の本数の多さに驚かされますが、実際はこれの倍以上の糸で作業を行っているのかと思うと、その大変さには本当に頭が下がります。今、説明した内容の映像と一緒にご覧いただけますので、この機会にぜひご来場ください。

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D&DEPARTMENT FUKUOKA GALLRY
糸から織布へ ー福岡県筑後市 宮田織物が生地を織るまでー
場 所:D&DEPARTMENT FUKUOKA
日 時:2017年11月14日(火)まで
入場料:無料
企画展詳細はこちら
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貴重なお話しを伺った後には、いよいよ袢天づくりにチャレンジです!
「綿入れ」と「手綴じ」を体験させて頂きました。
宮田織物の袢天はシート状の綿を手で入れ、手作業で閉じていきます。

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最初は綿入れから。
袢天の生地のしわをしっかりと伸ばし綿を入れる準備をします。

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綿入れは2人1組で行います。左右の職人さんの息がぴったり合わないと効率よく、綺麗なわた入れができません。ちなみに私はというと、教えてもらいながらの作業で着いていくのに必死でした汗

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大きな綿のシートを、袢天の幅に合わせて手でちぎっていきます。この時に綿を多く残してしまうと、後で行う手閉じの時に綴じにくくなることもあるので、そのさじ加減は長年の経験が必要な繊細な作業。ここで切った綿は袢天の裾の部分に当てて、無駄なく使われます。

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脇下の部分も残しすぎないよう、ちぎりすぎないように幅に合わせて切ります。

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裏地を返すときも2人同時に行います。少しわかりにくいのですが手前の綿が二枚重なっているのがわかりますでしょうか。ここは着た時にちょうど腰に当たる部分で、あたたかくしたい箇所に綿を十分に重ねることができるのも手作業さらではの特徴です。

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表地を返すとき、中綿がずれないようにしっかり中綿を手で掴みます。この作業が難しい!どこを掴んで中綿を固定し、表地をどうひっくり返すのか、私を含めて参加された方も苦戦して作業をしていました。

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端の方まで綿が行き届いているかもチェック。ここまでの作業を宮田織物さんは約1分半で仕上げますが、私は5分以上も掛かってしまいました。いつも職人さんは、テンポよくこなすので簡単のように思っていたのですが隅々まで気の抜けない、繊細な作業。これで中に綿が入った状態になったので、次は手綴じの工程に移ります。

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裏地の端から約1センチの箇所と表地の縫い目の箇所をまち針でおさえていきます。

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襟から裾にかけておさえていき、折り込んだ表地と裏地と綿を針ですくって綿を固定していきます。この作業もとても大変で、不器用な私は何度もやり直しをすることになってしまいました。針を通しすぎても表地に糸が見えてしまうし、針が奥まで通っていないと綿がすくえずに固定することができません。
指先の感覚だけでこの作業を素早く行う姿は、まさに職人技です。

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私は約30分の作業時間で15センチほどしか進めることができませんでしたが、
プロの職人は全て閉じるまでに90分ほどで完成させることのこと。

今回のワークショップを通して、引き込み作業から手作りの暖かさの残る、美しい織りを追求する想いがあること。
綿を入れ、手綴じという体験から、シート状の綿を入れることで量産される袢天にはない綿切れしにくい丈夫さが得られ、手で綴じることによって綿のボリュームを損なうことなくふっくら仕上げられることを知り、宮田織物の袢天だからこそのあたたかさの秘密に触れることができました。

着る人の着心地の良さや長く使い続けるために手間や努力、時間を惜しまない、
宮田織物のものづくりの姿勢に迫ることができとても感激しました。

宮田織物のみなさま、
お忙しい中、貴重な体験を本当にありがとうございました。

さらに、追加開催も決定いたしました!

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宮田織物に習う「わた入れはんてん」づくりワークショップ
場 所:D&DEPARTMENT FUKUOKA
日 時:2017年11月26日(日) 午前の部(11:00〜13:00)午後の部(15:00〜17:00)
参加費:13,000円(税込14,040円)クリスマスまでにご郵送にて完成品をお届けいたします。
定 員:各回3名
お申し込み方法はこちら

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福岡店で袢天の取り扱いは2018年2月末までの期間限定なので、
気になる方は是非一度来店して羽織りそのあたたかさの秘密を体感してみて下さい!

D&DEPARTMENT FUKUOKA ショップスタッフ 森田峻輔