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【 読みもの 】「山中塗拭き漆椀」修理のエピソード

2017年3月9日 公開

こんにちは。ネットショップ担当の渕上です。
今回は「山中塗拭き漆椀」修理のエピソードをお届けします。

 

▼ 新品 の「山中塗拭き漆椀」▼

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1. 修理のエピソードご紹介

ネットショップの問合せ窓口が私の主な業務ですが、WEBページに寄せられる様々なお問合せの対応も行っています。嬉しいことに、その中には修理に関するお問合せも結構多くあります。
今回ご相談を受けたのは、ご結婚の記念に山中塗拭き漆椀と白山陶器のお茶碗をご購入されたご夫婦です。WEBページの問合せフォームから修理のご相談をいただき、ご来店の際に店頭でお預かりしました。「山中塗拭き漆椀」は新品でも4000円以下と決して手が届かない値段ではありません。しかし、新しいものに買い替えるのではなく、「結婚してからずっと使っているこのお椀をこれからも使っていきたい」とのことでした。

店頭にお持ちいただいた際に奥さまから伺うと、約3年前に東京店でご購入されてから毎日のようにこのお椀を使われていたそうです。お味噌汁を入れていた箇所が特に劣化していて、その形跡がはっきりわかるくらいでした。さらにお預かりした2点のうち1つは、中央や側面にヒビが入っていました。

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これを販売元である佐竹正雄商店にお送りして修理してもらいました。

▼修理の概要▼
・ヒビが入っていたものは漆で埋めて地固めする
・漆を数回重ねて塗る

 

そして修理に出してから約1ヶ月。

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修理から戻ってきたお椀は、新品よりもずいぶんと色味が濃く深みが出ています。それは「木地(白木の状態)に漆を塗ったもの」の上にさらに漆を重ねたからこそ。使用されたお椀は塩分がしみ込んでいるため、新品よりも漆の乾燥に時間がかかるとのこと。そのため新品の塗拭きよりも少し手間がかかるそうです。

佐竹正雄商店さんからいただいたお手紙には「長く使っていただいてありがとうございます」「お客さまにどうぞよろしくお伝えください」とお礼の言葉が書かれていました。漆のお椀と一言に言っても、高価なものから「山中塗拭き漆椀」のように比較的お求めやすいものまで多くの種類があります。奮発して買う高価な漆椀もいいけれど、日常使いとしてお求めやすいお椀を、こんなふうに修理しながら少しずつ自分だけの器にしていくのもとても素敵だと思いました。

 

2. そもそも「山中塗拭き漆椀」とは?

山中漆器は、石川県加賀市山中温泉の周辺が発祥と言われています。今から約300年前、漆器の原木を加工する挽物職人の木地師たちが良質な木材を求めて山中温泉に住みついて生活していました。
特徴として、朱や黒で仕上げられている漆椀と異なり木地の木目がそのまま見えることが挙げられます。木が本来持つ美しさ、木目を生かすために色を付けない生漆(きうるし・なまうるし)のまま塗っています。拭き漆(摺り漆とも言われる)で仕上げられており、艶が出るまで、塗っては拭いて(摺りこんで)を繰り返します。技法としては刷毛で漆を塗り布で拭き取る方法、布自体に漆をしみ込ませて塗り込む方法があります。朱や黒で仕上げている漆椀と比べて手間がかからないように見えますが、木地の仕上げがそのまま見えるため、木地作りには技術が必要です。

▼現地のレポートはこちら▼

 

3. 修理のご相談に関するご案内

弊社でご購入された「山中塗拭き漆椀」の修理のご相談は店頭や問合せフォームにてお受けしています。(「山中塗拭き漆椀」以外の商品に関しても随時ご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問合せください。)

▼問合せフォームはこちら▼

▼ご留意いただきたい点▼
・日々の使用により、お椀は塩分を含んでいるため新品よりも漆の乾燥に時間がかかります。(目安として1ヶ月程度をお考えください。メーカーの繁忙期などそれ以上かかる場合もございます。)
・状態によって修理の内容が異なりますので修理代金は以下の流れでご案内いたします。
① 弊社からおおよその修理代金をご案内
② メーカーにお品物到着後、おおよその修理代金をご案内
③ 修理完了後に正式な修理代金をご連絡

 

【 今回ご紹介したもの 】
・ 山中塗拭き漆椀 大
・ 山中塗拭き漆椀 小

 

文章:NETSHOP 渕上涼子
撮影:NETSHOP 依田香南