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シマタニ昇龍工房のおりん

2016年7月15日 公開

富山店のレジ横には、大きな大きなおりんがあります。「わー!!」と驚かれる方や、「これ何?」と興味津々に見る方が多いこのおりん。実際に叩いてみるとごーんと真っ直ぐ伸びる音が店内に響き渡り、なんともありがたい気持ちになります。このおりん、高岡市のシマタニ昇龍工房さんで作られたものです。先日シマタニ昇龍工房さんの工房を訪ねてきました。

高岡駅から歩くこと30分程。山町筋の土蔵作りや金屋町の町並みと異なり、間口が狭く奥行きのある2階建の木造住宅が立ち並ぶ一角に位置します。昔から住まいと工房を併設していた家が多かったそうで、住まいの入り口は表通り、工房の入り口は裏通りに面していて、裏通りを歩いていると職人が行き来していた活気ある町並みを想像させます。シマタニ昇龍工房さんの入り口も表通りから一本入った裏通りに面しています。IMG_0375

 

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こんにちは!とドアを開けると調音やおりんの形作りをする工房に繋がっていました。

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早速形作りの工程を見せていただきました。叩いているのは、4代目島谷好徳さん。

おりんは上部、中部、下部の大きく3つのパーツからできていて、それらを溶接することで形を作ります。素材は真鍮で、銅と亜鉛の割合は7:3。これが、上部のパーツです。叩くことで金属密度を高めていきます。おりんの音を作る上で一番重要な部分だそうです。

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下部分は底絞りと言って、木の型にあて叩いて曲げを作っていきます。これが木の型。

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機械を用いてサイズをあわせているのでは、と想像していたので、これだけで精巧に作るの?と道具の少なさに驚きました。

 

おりんを裏返し、下部と中部を重ね合わせた様子。3つのパーツは溶接する際にはぴったりと重なります。

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それぞれのパーツを溶接し、形が見えてきたら、金槌で整えていきます。

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溶接後、叩く作業と炉に入れて焼く作業を繰り返し、成形していきます。

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この炉は100年近く直しながら使っているのだとか。炉の近くには温度計も時計もありません。炉から出すタイミングは、長年の経験で培った感覚を頼りにおりんの色の変化を見て取り出すそうです。一見簡素に見える炉は、島谷さんの知恵や知識があってこそ使いこなせるもの。最新の設備や道具が無くても、知識や知恵を自分の道具に変換して、最小限の装備で作っています。炉を見て真っ先に「何てシンプルな、、、」と思いましたが、そういったシンプルな装備を使いこなすことこそ難しく、職人の凄さをこの炉から改めて感じました。

炉から取り出したら、外側、内側と叩き調音していきます。どこを叩いたら音のうねりがなくなる、といったセオリーはなく体で覚えた感覚を頼りに叩いていくそう。調音が上手くいかず叩くうちに固くなってしまったら、もう一度炉に入れて焼きなまします。この仕上げ、調音の工程が一番難しく、技術を習得するのに4代目の島谷好徳さんは、17年程かかったそうです。17年、、、長い道のりです。

これは形作りや調音にかかせない島谷好徳さん専用の金槌です。

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先端は自分でやすり、使いやすい角度にしていったのだとか。島谷さんの体の一部のように使いこなされている道具は、なんとも言えない美しさがあります。

こちらは共有で使う道具の金槌と木槌。ずらっと並んでいる様は圧巻です。

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代々おりん作りをされてきた島谷さん。始めは全く職人になるつもりはなかったのだとか。大学進学をきっかけに実家を離れたことで、家業を客観的に見ることができ継ぐことを決心したそう。今は20年以上おりん作りをされています。

「ただ手作りだからいいというわけではないんです。音の違いを分かってもらえると嬉しいです。」と島谷さん。富山店のおりんも、どれもうねりがなく、心地よい残響音が響きます。

この音を長年培った感覚だけで作り出しているというのが信じられなくて、職人の職域の深さに圧倒されてしまった工房見学でした。おりんは自由に鳴らしていただけます。職人の手作業だけで作り出された淀みのない音を、是非聞いてみてください。

D&DEPARTMENT TOYAMA 上野