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とんき

  1. 動く、見せる、名物は―働く姿。 常連客が「店が閉まるちょっと前の、掃除が始まる時間がいいよ」とこっそり教えてくれた、店の者が一斉に素早く動く姿に魅せられる、舞台に見立てたような広い厨房。
  2. 粋な、清々しい空間デザイン― 磨いて磨いて磨き使う白木のカウンター、白い割烹着、ふわふわのおしぼり。一隅に飾られた生花。創業時の想いそのまま、隅々まで“様になっている”店内。
  3. 王道のとんかつ、伝統のソース、新鮮キャベツ。 “肉の旨しい”ロースかつ、ヒレかつ、それぞれ定食1800円。串かつは2本800円。ごはん・キャベツお代わり自由が創業時からの業界の先駆け、とん汁は2杯までOK。

舞台のような、とんかつ屋 白い暖簾の存在感が際立つ。ビル風に吹かれても「とんかつ」の四文字をはっきり見せる特大サイズ。店に入ると、「いらっしゃい!」とキリッとした声。厨房を見渡せるコの字型の檜のカウンターは白無垢で、乳白色のガラスシェードの白熱灯が美しい。カウンターの台に、ソース、爪楊枝が等間隔にビシッと並ぶ。鮨屋のような印象だが、広く明るい、次第に舞台に見えてくる厨房は「とんき」だ。真っ白な割烹着姿の男たちがキビキビと動き、ピタッと止まり、また動く。その数、忙しい日には20人。注文を取る、キャベツを刻み盛る、かつを揚げる……一人一人に〝役〟があり、〝演じる〟仕事に一瞬の迷いが入る隙もない。注文してかつが揚がるまで約20分、彼らの様子に見惚れながら、冷えたキリンラガー中瓶で、お先に一杯。三代続く〝職人〟商売の基本は、「客を楽しませてこそ」。流れ舞うように働く姿をエンターテインメントにも見てもらおうと考えたのも当時から。動き回る膝の負担を減らすために、厨房の床には白木の簀の子が敷き詰めてある。それが隅々まで磨き込まれ、乾いた光景に、客はまた感動する。キツネ色のかつは、純白のノリタケの皿で運ばれてきた。そのモダンさにも「古き佳き」ばかりに固執しない〝江戸っ子らしさ〟を感じる。常連は、たいてい定食に串かつを一本付ける。これが美味い。江戸の粋に浸りながら満腹になれる、正当かつ真正直な〝かつ〟屋。(空閑理)

※掲載情報は、『d design travel TOKYO』制作時点(2012年8月)のものとなります。

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