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神田藪蕎麦

  1. 板塀に囲まれた江戸の風情が残る、神田の街で食べる新緑色の蕎麦。 タイムスリップしたような一角に凛として明治より続く蕎麦屋。
  2. 都の歴史的建造物でありながら、どこかモダンに進化しているセンス。 ガラステーブルやかわいいサイズのパリッとした暖簾など、その一つ一つは今にも通じる。
  3. 注文を奥に伝える時の個性的な作法。 れから店をつくるという人に体感してほしい、実用を兼ねた風情。

江戸の風景で蕎麦を食べる 江戸時代に秋葉原が青物市場であった頃、隣の神田は紺屋町、鍛冶屋町と呼ばれた問屋街。全国から布やボタンを仕入れに泊まりがけで人が集まる。ここに暮らす職人ら、重労働のお客さんのために塩分に気を配った濃いめのつゆと、「蕎麦もやし」の青汁を蕎麦粉に打ち込み、清涼感のある新緑色の蕎麦を1880(明治13)年から出している神田藪蕎麦。背負子の肩当ての縄を直す店が集まることで「連雀」町と呼ばれていた時から一貫して変わらない。今では周りを近代的なマンションに囲まれてしまったが、この一角だけは当時の風情を残し、今も多くの人々が集まってくる。料亭風の佇まいは、前庭と中庭があり、開店前の店員全員での水拭きは、取材だから見られた感動ポイントだ。一心不乱にみっちり1時間、徹底的に拭き掃除をする。長野、青森、北海道など国産の玄蕎麦のみを使い、その日の分だけを手でこねた蕎麦は毎日、旦那さんや女将さんの試食を経て初めてお客さんに出される。注文を受けると帳場から調理場へ、まるで俳句でも読み上げるような抑揚で注文が伝えられる。その風情も常連が多い、ここの魅力の一つ。親子で何代にもわたって来てくれる。「自分たちはこうだ」ではなく、「藪蕎麦はこうだ」と、常連客と〝藪蕎麦〟をいつまでも改良していく。都の歴史的建造物の空間で、名物の「天たね(かき揚げ)」と新緑色の「せいろう」を頂きたい。(ナガオカケンメイ)

※掲載情報は、『d design travel TOKYO』制作時点(2012年8月)のものです。