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d47研修合宿レポート2017①【静岡編】

2017年9月21日 公開

毎年9月初旬には、d47スタッフ全員(食堂・ショップ・ミュージアム)で、山梨県の「富士山YMCA グローバル・エコ・ヴィレッジ」にて1泊2日の研修合宿がおこなわれます。

この合宿では、ナガオカさんをはじめ、d&department の首脳陣も交えて、各部署のスタッフが日々の営業で気になっている課題を出しあい、みんなで解決策を考えるミーティングがおこなわれます。夜には、d47食堂の料理人たちの指揮のもと、火おこしから調理まで、スタッフ全員で美味しい夕食を作ります。

今回、d47食堂スタッフは「定食開発取材にいくつもりで、静岡・山梨県内の生産者を訪ね、夕食の食材を確保する」というミッションを持って、3つの班に分かれ、最終目的地であるキャンプ場を目指しました。

※定食開発取材:毎号d design travel誌が発刊される際、d47食堂では料理人やスタッフが実際にその県の料理を食べ歩き、その土地らしい“食文化”を1膳で表現した「◯◯定食」を開発しています。


私たちの班は、東京・渋谷から車を走らせること約2時間、まず静岡市内にある『安東米店』に向かった。

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安東米店の店主 長坂 潔曉(ながさか きよあき)さんが迎えてくれた。

長坂さんは武蔵野美術大学を卒業後、家業であった「安東米店」を継いで、「お米」について深く携わるように。「田んぼからお茶碗まで」というテーマでお米と向き合われている長坂さんからは、稲作から炊飯まで、お米に関するありとあらゆるお話を聞くことができた。

「圧力鍋でなくても、玄米は美味しく炊ける」
「なぜ羽釜はこの形状なのか?」「羽釜に適した温度は?」

など、よくよく考えてみれば、知らないことばかりの「お米」や「炊飯」。滞在時間30分では、もちろん足りず、近いうちにまた長坂さんの話をじっくり伺いに来ようと心に誓った。

店内には、ショウケースの中に10種類ほどのお米が玄米のまま紹介されていて、それぞれの米の産地、生産者や味の特徴がわかるポップがついている。

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私たちは、今回の合宿用に静岡県産の新米5kgを購入した。長坂さんが、慣れた手つきでケースの仕切りを開け、計量バケツにザッと玄米が落ちる。それを秤にのせると、ほぼ5kg。「長坂さんオススメのお米をそのまま味わいたいね!」ということで、半分だけ精米して頂き、後ろ髪をひかれながらも安東米店を後にした。

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安東米店 http://ankome.com

 

次に向かったのが、藤枝市にある「まるはん へそ曲がり」。

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ここは、d design travel誌 静岡号にも掲載された、完全予約制のうなぎ屋。緑に囲まれた店舗は、心地よい風が通りぬけ、最初に出された温かい緑茶を飲みながら、しばし料理がでてくるのをゆったりと待つ。メニューは鰻定食のみで、なんとも潔いお店だ。来店してから、店主が丁寧に焼いてくれる。

みな思い思いにくつろいでいると、待望の鰻定食がでてきて、一同テンションがあがる。朝7時30分ごろに出発してから、ほぼ何も食べていない私たちにとって、本日初めてのちゃんとしたご飯!笑

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鰻はほろほろ口の中でほどけていくように柔らかく、タレもほど良い濃さ。お米もうまい。添えてある漬物やぬか漬けも、ちょうどよい塩味で、鰻やご飯がすすむ。鰻の肝がはいった吸い物も美味。みな、「うまいうまい」と言いながら、ぺろりと鰻をたいらげた。

 

美味しい鰻を堪能して満足感いっぱいの後に向かったのは、「まるはん」から車で5分ほどの「コーヒーの苑(その)」へ。

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ここは、藤枝市役所のすぐ近くにある老舗のコーヒー店。昭和の面影が残る店内は、そこだけ時が止まっているかのようで、ついつい長居してしまう。カウンターには常連のお客さんがいて、コーヒー片手にマスターと話しながら時を過ごしたり、コーヒーを脇に本をゆったり読まれている方もいる。なかには10年以上通われている方もいるそうだ。

迷わず5人とも、店名がついた「苑ブレンド」を注文。あまりの美味しさにびっくりする人も(笑)すっきり飲みやすい「苑ブレンド」は、食後にもぴったりな一杯だった。

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さて、ゆっくり静岡の食を味わった後は、掛川まで車をとばし、「栄醬油醸造」へ。

寛政7年(1795年)創業の栄醬油醸造の醬油づくりの特徴は、昔ながらの木桶による『天然醸造』にこだわり、200年あまりの長い間に培われた蔵に住みつく菌の助けを借りながら、安心安全な醬油づくりに取り組まれている。

蔵に入る前から、あたりに醬油のこうばしい香りが漂う。深谷 允(ふかや まこと)さんが、醬油づくりの行程を1つ1つ丁寧に説明してくださり、実際に桶で醸造中のものを見せていただけた。大豆が発酵しているからなのか、木桶の近くは暖かく、まさに微生物が生きているのを間近で感じることができた。

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発酵を終えたものを漉して、液体状にするにも、少しずつ袋に詰めて、その袋自身の重さを利用して搾っているのをみて、考えさせられた。効率性を求められる現代に、こんな風に重力をつかって一滴一滴しぼる方法が貴重に思えた。

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最後に、茶色い塊がたくさんはいった袋の山を発見した。なかをみると、発酵・熟成させた大豆の搾りかすだという。「もっと性能のいい圧搾機ならまだ醬油がとれるんですよ。でもうちはこのやり方を貫いています」と、深谷さんはいう。この搾りかすには、まだほんのりと醬油が染みていて、日本酒のアテによく合うそうだ。

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有限会社 栄醬油醸造 http://www12.plala.or.jp/sakae-s/index.html

 

最後に、ぐぐっと富士宮市まで戻り、「北山農園」へ。

ここは、d&department 静岡店が開店以来から大変お世話になっている、平垣夫妻が営む、北山のオーガニック野菜農園。市場にはあまり出回らない野菜も、作ってみたい!という好奇心と二人の感性で種付け、作付けを行う。二人がつくる野菜に惚れ込み、静岡県内をはじめ、都内から足を運び、野菜を買い付ける料理人達もいるほど。

この日は、夜の夕食作りに必要な野菜を受け取りに伺った。

平垣さんが用意してくださった野菜たちはどれも新鮮で、スタッフからも「かわいい!!」と絶賛される大きさや彩り。白ゴーヤなど、なかなか普段は見られない野菜も多い。

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かわいい野菜たちに目を輝かせている私たちの様子を見て、「安心で安全なのはもちろん、買う人たちが一目見て『かわいい!』そう思ってもらえるのがいい。ワクワクするものがいいよね。」と平垣さん。

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そして、「農家は誰よりも命を絶っている。野菜には何千と種が含まれていて、それは次の世代に繋げるはずだった“いのち”。食べ物には壮大な命の連鎖があるけど、それを仰々しいものとして受け止めすぎず、その『いのちを頂いていること』にすこしでも想いを馳せて欲しい。」と平垣さんから伺ったとき、「食」に対して当たり前のことと思っていた自分が恥ずかしいとともに、もっと目の前のものや「今」という時間を存分に感謝していきたいと強く思った。

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北山農園 http://www.kitayama-farm.net

 

(d47食堂 谷本 紗央里)