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喫茶メイン

愛知定食が出来るまで  〜2日目〜

2016年7月10日 公開

d design travel 愛知号のため、さまざまな愛知の味をぎゅっと一つの定食にするべく旅に出たd47食堂の定食開発チーム。取材1日目のレポートはこちら


『2日目はモーニングから』

4月26日(火)2日目。さっき寝た気がするが、他の皆さんは、ちゃんと起きて?いて、しかし私は、朝方「あいたたたっ、痛っ」と体の節々が(慣れない運転と、二段ベッドで)痛く、やっとの起床。一行は、早速今回の「肝」のひとつでもある「喫茶店のモーニング」を体験に、喫茶BONBON(ボン→ボン↑という発音に注意)に向かう。


『洋菓子・喫茶 ボンボン』

ボンボン

子どもの頃、このボンボンの包みを持って遊びにきてくれる伯母ちゃんが大好きだった。箱の中の行儀良く並んだケーキに、こんにちは!と言いたくなるくらい、今はあまり見かけなくなったプチケーキを、勿体なくて、なかなか食べれなかった。「おいしいものは、食べるとなくなっちゃう」のが悲しい私の性格は、今も昔も変わらない。店内は、常連のお客さんで満員、スポーツ新聞を広げる人、珈琲に「付いてくる」トーストやゆで卵を口に運び、一人客も家族連れも、薄暗い照明の店内で時間をゆっくり過ごしている。

ボンボンでの二人


『良い食品を知り尽くした家族が営む、“熊野屋”』

食堂がお世話になっている「良い食品」の会を深く知る、熊野屋さん。
「作っているところに行ってみて、話を聞かないと深さがない、というか本物を見ないと身に付かないでしょう?」とさらっと、でも凄いことを、おっしゃるのは、店主の熊田さん。

熊野屋

家族で営まれている熊野屋さんで、お父様の博さんから、幸運にもお話を伺う。かつて油屋を家業とされていた歴史ある熊田家。脱サラで始められたこの店は、お嬢様が小さかった頃は、夏休みの家族旅行は常に「工場見学」や「生産者訪問」。自由研究には事欠かなかったそうだ。家族ぐるみで、商品の一つひとつを知り尽くしてこられた。今やオリジナルの商品も取り扱う。「良い食品が、ここに来れば全部買えるなあ」と感心する品揃え、嬉しい店。

熊野屋さんをあとにして、ミツカン酢の里に向かう途中では、また「味噌」に戻る。昼食は「味噌煮込みうどん」

味噌にこみうどん

私の家は、家族が愛知出身ではないため、「それは家では、やらんな〜」という食べ方や、料理がいくつかあるのだが、その筆頭に「前の晩が天ぷらだった翌日の朝のみそ汁の具に天ぷら」というのがあって、私は、この味噌煮込みに天ぷらが入っているのも、あまり得意ではない。だから、私は「かしわ(鶏肉)と卵」だけのトッピングにした。

さあ、腹ごしらえ(ずっと腹12分目くらいなのだが)も終わり、「ミツカン酢の里」に向かう。ここで、酢の成り立ちや、現在の寿司のルーツの話を見聞きし、近隣にある日本酒「国盛」の蔵も見学、半田赤煉瓦のカブトビールのレンガ造りの工場跡地も見学、次は、たまり醬油を訪ねて「丸又商店」さんを目指した。


『この地方だけのものを大切にしたかった、“丸又商店”』

車のナビを頼りに、武豊市の丸又商店さんに向かうが、ナビは少々意地悪で、ものすごく細い路地を行け!と指示するものだから、別のルートで行けば、あんな冷や汗をかくこともなかっただろうに、四苦八苦して丸又商店さんの蔵に到着。かなりの「突撃取材」なのにもかかわらず、快く木桶の並ぶ中を案内してくださったのは、ご主人の出口さん。

丸又さん
たまり醬油と醬油の違いは、醬油は小麦1:大豆1に対して、たまりは大豆100%。全国で作られる醬油全体の約2%しか作られていない。そのたまり醬油の特徴は、香りが弱く、うま味は倍以上。塩水の量が少なく、カチカチになっているので、混ぜることも出来ず、ただただ寝かされ、作られていく。この大きな桶からも、わずか200mlしかとれないと聞き、ひえ〜っと声がでてしまった。この「たまり醬油」は、この地方独特のもので、出口さんにとっては、おふくろの味、ふるさとの味、という。それが愛知を一度出て、外から見てみた時にわかったという。今や、このたまり醬油の価値は(価格の安い醬油と同じように売れなくても)海外がその価値を認めてくれるのだと、話してくださった。ここにしかないものが、一杯あるのが愛知。三河の八丁味噌、碧南の白たまり、半田の酢、酒、武豊のたまり。いいか、悪いかではなく、それで育った人は、それがおいしいと思うのだ、と言われ、うんうんと頷いた。“人の一生は、桶で産湯に浸かって、棺桶に入る”でも、その桶を使わなくなって杉が増えすぎたから花粉の病なんてのも、生まれるんじゃないかな、なんてお話もしていただいて、食と、それを作る行程と、すべてが自然と繋がっているんだとあらためて、考えさせられた。

まり樽

一行は、丸又さんのたまり醬油に心酔し、ああ、愛知の醸造調味料を何とか形に、定食という形にするために、どんな料理にしたらいいかと、いよいよ(半ば焦りつつ)気持ちを絞りながら、その手がかりを求めて、晩ご飯に向かう。途中、「大和屋」さんで守口漬を見せていただて、守口大根や、カリモリ(瓜の一種)にも出会い、この取材のお楽しみの二つ目(一つ目は「きく宗」さん)、一世紀以上続く名古屋の大衆居酒屋「大甚」に(肴がなくなっちゃうから早く行けと言われているので)急いで向かう。


『シャネル、そろばん、売切御免 “大甚”』

自分の祖父も、父も通っている居酒屋。昨今の「センベロ」ブームや「居酒屋〜」、テレビ雑誌で取り上げられたことも手伝って、昔に比べて客層が若返った(失礼!)感のある、でも店独特の「マナー」や「ルール」がお客さんによって守られている貴重な居酒屋。大将の山田さんのかけている眼鏡がシャネルで、最後のお会計は「五つ玉のそろばん」ではじいてくれる。こんなとこ、ちょっとないでしょ?

大甚大甚おちょこ

料理人と岡竹(岡やん)とは、以前から「連れて行ってあげたいね〜」と話していたから、とても楽しみにしてくれていたようだが、それはそれ、取材となると、心構えがちがい、仕事モード。私もこの大甚で「酒なし」の宴は初めてで(ドライバーだから)、妙な感じだったが、店にある、酒飲みといわず、旨いものを、すっと食べて、すっと飲んで、ちょっと周りの人とも話したり、1人飲みの時間を楽しんだり、この店の奥深さを堪能し、さて、これは定食にどうだ、他に今晩食べておかねばならんものはないのかと酢みそ和えを食べ、カリモリをつまみながら次を考えた。


『多幸の島、海の幸 “晴快然荘”』

もずく鍋

 

編集長も「大甚」から合流、日間賀島では料理宿も営む「晴快荘」のお姉さんたちの話術と、勢いに飲み込まれながら、気づいたらゆでダコを食べ、生のり、そして名物だというタコしゃぶを食べていた。今夜も、胃袋は無限大である。さあ、あと1日。定食のアイデアはまとまるのか、と悶々としながら今夜は国際センタービル近く花車ビルの「Nook & Cranny」で、珈琲を飲んで帰路につくことにした。(いよいよ3日目を残すのみ?!)

d47食堂 内田幸映