D&Department

D&DEPARTMENT ネットショップへ

shimoo

「技のこわけ」産地を訪ねて②「Shimoo Design」

2017年8月22日 公開

富山の様々な作り手が参加し、12㎝角の小皿でそれぞれの技を表現した「技のこわけ」プロジェクト。D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERYでは、2017年7月6日(木)〜8月22日(日)の期間、「富山県のお土産デザイン 「越中富山 技のこわけ-素材と技を伝える新しいお土産の形-」展」にて、「技のこわけ」の展示を行っています。

展覧会に合わせて、このプロジェクトに参加している作り手を訪ねました。


今回、「技のこわけ」プロジェクトに参加している作家Shimoo Designに取材に行ってきました。
こちらがShimoo Designが制作した「浮様」という器。はっきりとした木目が美しく、色味や質感に私はどこか懐かしいような落ち着きを感じました。

shimoo-design_%e6%b5%ae%e6%a7%98%ef%bc%88%e3%81%b5%e3%82%88%e3%81%86%ef%bc%89

Shimoo Designは下尾和彦・下尾さおり夫妻によるユニット木工家です。
富山市八尾町、青々とした田んぼが広がる道を通り抜け、山道をぐんぐん登っていくと小さな看板が。左に曲がると下尾夫妻のアトリエとご自宅があります。こちらがアトリエ。

shimoo

1.独自の技法「浮様」

Shimoo Designが普段制作している作品を見させていただきました。こちらは「浮様」の丸皿です。

shimoo

「浮様」は木工の技法「浮造り」と漆器の技法「根来塗り」を取り入れたShimoo Design独自の技法です。「浮造り」は木の表面を削り、年輪を浮き上がらせる技法です。「根来塗り」は黒漆による下塗りに朱漆塗りを施す技法で、使い込むうちに下地の黒漆が見えて模様のようになるのが特徴です。この二つの技法の要素を取り入れ、着色剤を塗っては研ぎ出し、を4~5回ほど繰り返して作られます。そうすることにより木目がはっきりし奥行きがでます。これらの作業はご主人の和彦さんが担当しています。奥様のさおりさんは主にデザインや仕上がりのチェックを担当しています。

shimooこのように機械を使用して木の表面を削っています。

「長く使われていた木が持つ、物語があるような経年変化の質感と魅力を自分の手で出したい。かつ、お皿のような実用的に普段使いできるものを作りたい」という思いから生まれた「浮様」。着色に関しては水墨画をイメージして絵を描くように色を落としているそう。言われてみると確かに、色の濃淡や木目の模様が水墨画の雰囲気と似ています。
素材はタモ材を使用。Shimoo Designの作品はほとんどがタモ材が使われています。なぜタモ材を使うのか。「今までいろいな木材を使ってきたけど、タモの木目が一番Shimoo Designのシンプルなデザインに合っている」と話す下尾夫妻。タモの木目は洗練されていて綺麗でいて和の雰囲気が出るそうです。

2.選定委員と作家として参加

「技のこわけ」について伺いました。
さおりさんは「技のこわけ」の選定委員の一人です。独立当初から付き合いのあった富山県総合デザインセンターから、「技のこわけ」の当初のコンセプトの1つが「女性目線のもの」だったこともあり、選定委員としてお声がかかったそう。
「伝統産業に力を入れつつ現代に合うものを提案するデザインセンターの活動を応援している。なにか力になれることがあれば」という思いから参加することに。
そして「技のこわけ」の発起人かつ今回のギャラリー企画のキュレーターである桐山さんからの推薦があり、作家Shimoo Designとしても参加しました。
「浮様」を「技のこわけ」に取り入れたのですが、「技のこわけ」のような小さなサイズのお皿を作るのは初めての試みだったそう。大きなお皿より作業が細かくなるので苦労した面もありますが、サイズが小さい分、今まで破棄していた端材を使用することができるというメリットがありました。

shimooたくさんの端材

ちなみに、木材のお皿は染み込むのでは?と思いますが、ガラス塗装をしているのでお料理を載せても染み込みません。
油染みなどは味でもありますが、レストランでは汚れと見なされてしまい、頻繁にメンテナンスで返ってきたことも。そこでガラス塗装を施すとにしたのだとか。

3.能作の器のデザインも

「技のこわけ」には高岡の鋳物メーカー「能作」も参加しているのですが、能作の器のデザインは下尾さんによるものです。こちらがその器「Pinhole」。

shimoo

和彦さんが木を削って原型を作り、それを元に能作が鋳型を作って器を制作します。工業製品だけれど味わいがでるように、型から取り出した後、さらに加工しています。「浮様」のような奥行と個性が出ていますね。
また、この皿の中にはちょっとした仕掛けも。よーく見ると、ハートマークがあるのです。なぜハートマークをつけたのか伺うと、「気づいたら楽しいかなと思って」と笑って話す和彦さん。少しお茶目な一面を見せていただきました。

4.現代の和

Shimoo Designには「入れ子式立礼卓」という”和”の要素を取り入れた作品があります。またタモ材を使用する理由として”和の雰囲気が出る”とおっしゃっていました。Shimoo Designの”和”へのこだわりを伺いました。

「親世代は西洋への憧れがあったが、自分たち40代は日本に対する憧れがあった。日本のものってやっぱりいいよねという」という和彦さん。
「ただ誰がデザインしたか分からない”昔の和”のものをそのまま真似するのではなく、その要素を取り入れ、自分達の解釈を加えてリデザインした”現代の和”を表現したい」とさおりさんは言います。

shimooShimoo Designによる「入れ子式立礼卓」。”和”の要素が洋風のリビングにあっても違和感がありません。

今回の取材でShimoo Designの器を見たときに感じた懐かしさは、昔見て触れた祖父母の家にあった家具などの質感をShimoo Designは表現していたからだと分かりました。新品ですが使い込まれた質感を出して現代の生活にも馴染むような作品を制作しているのがShimoo Designの魅力だと感じました。

Shimoo Designが表現する”現代の和”。これからもどのような作品が出てくるか目が離せません。

D&DEPARTMENT TOYAMA 水戸