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食の語り部2017レポート⑤ 微生物の働きから知る、美味しい味噌の選びかた

2017年6月7日 公開

第15回 良い食博覧会にてd47食堂内で開催された「食の語り部」講座のレポート。

語り部 第5回目は宮城県の仙台味噌で知られる、仙台味噌醬油株式会社の社長佐々木重兵衛さんに「微生物の働きから知る、美味しい味噌の選びかた」をテーマにお話しいただきました。

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まずは飲み比べ。3つの味噌は、それぞれ地域が違います。1つは仙台味噌、2つ目は信州の味噌、3つ目は会津の味噌。中でも仙台味噌は3つの中で塩分濃度が一番高いものでした。塩分濃度がそれぞれ1%になるようお湯で溶いていたのに、3つの中で一番辛口で旨味があるように感じられました。

 

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味噌は中国からのもので、その始まりは古く、西暦700年代には存在を確認されています。庶民が頻繁に食べられるようになったのは江戸時代。仙台藩を統治していた伊達政宗が、工場を作った事により、仙台味噌ができました。仙台味噌の特徴は、その塩分の多さでした。伊達政宗の朝鮮出兵のとき、他の藩の味噌は腐ってしまったのに、仙台味噌だけは腐らなかったと言われています。しかし、仙台味噌はただ塩辛いのではなく、しっかりとした旨味があります。

 

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原料は大豆と麹、塩と水だけ。
大豆を厳しく選別し、蒸して麹、塩と混ぜ、低温で管理します。塩が多い事は、発酵を遅らせますが、その分アミノ酸などの旨味になるものが多く作られます。発酵の段階では、酸素を補給する為に、「天地返し」を行います。

麹づくりは、麹を育てる室(むろ)に入れる人が限られるほど管理が難しく、発酵の管理も全て職人が見守り、手をかけています。「味噌づくりは子育てと同じで、あんまり手をかけすぎてもいけないけれど、何か変化が起きたときに様子を見て、手をかけてあげることが大切です。」と佐々木さんは言っていました。こどもの育て方が十人十色のように、味噌にも地域差、個人差があります。

「良い味噌」の解釈はひとそれぞれ違いますが、人工的につくられるうまみとして加えられる添加物が加わった味噌は、レシピ通りに作らなければ美味しくならないのに対して、そうでない味噌は配分量が違っていてもある程度美味しく感じられ、薄めても味が良く伸びるので、使う量が少なくて済むという利点があります。

「良い味噌」があり続けるために、というお話で、佐々木さんは「味噌汁一杯分には味噌がたった10〜20円しかかかりません」と。徹底された衛生・温度管理のなかで、素材、工程にこだわった「良い味噌」を、私たちが使う事が、その活動を支えることにつながっていることを改めて痛感しました。

 

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佐々木さんのお話を聞いてから、仙台味噌でつくった味噌汁を自宅で食べていると、味がおいしいことはもちろん、職人さんが味噌に手をかけている様子や、かけられている愛情を思うと、より一層美味しく感じました。何をどのよう作られたのか、自身で調べ、考え、味噌について知る事が「美味しい味噌」を選ぶ事、造り手を支える事につながっていることを感じる勉強会でした。

 

(d47食堂 齋藤綾子)