D&Department

D&DEPARTMENT ネットショップへ

_mg_9124

食の語り部2017レポート⑥知らない牛乳の世界。美味しい牛乳は牛の健康から

2017年6月8日 公開

第15回 良い食品博覧会にてd47食堂内で開催された「食の語り部」講座のレポート。

語り部 第6回目は、北海道興部町(おこっぺちょう)にて、放牧によって育てられた牛で有機JAS認定を獲得している乳製品を作っているノースプレインファームの大黒有梨さんに、「知らない牛乳の世界。美味しい牛乳は牛の健康から」をテーマにお話しいただきました。

北海道興部町にある、ノースプレインファーム。
興部町は、平均気温は5度、最低気温は-21度と寒い寒冷地。
雨量も少ないので畑作には向かないものの、酪農には非常に適しています。

そのような環境の広大な敷地に牛を放牧し、その牛から採れる牛乳を使って乳製品を作られています。
milk_main
まず驚いたのが、放牧に関して。実は、放牧している農家さんは、北海道で約10%にしかすぎないとのこと。
北海道の牧場の景色といえば、広大な草むらに牛が点々と散らばり、気ままに草を食べている光景をイメージしていた私にとって、この事実は衝撃でした。

牛は元来、牧草を食べて運動して過ごす動物。つまり、放牧は牛の生理に矛盾しない育て方なのです。
しかし、ほとんど外に出ずに牛舎の中で過ごし、餌も徹底管理されて育てているところが多く、輸入された安い穀物など肥料としてを食べさせ、大量に、安価に乳牛を作りだしているところが多いという現状があります。

また、ノースプレインファームの畜産物は、有機JAS認定を取得しています。
牛に与える餌や、牧場の周りの環境など、非常に厳しい基準をクリアしていないと取得できないJAS認定。
「認証をとることで、消費者の皆様への安全の約束のひとつとなり、乳製品を選ぶ上での選択肢の一つになればいいと思っている」と、ノースプレインファームの大黒有梨さんは語ってくれました。
_mg_9142

そして、おこっぺ牛乳と、市販の牛乳をブラインドで飲み比べ。
写真だけでもその違いがわかるでしょうか。(ぜひ比べてみてください)

_mg_9131
少し黄色みがかって濃厚な香りと味わいのA。それに対して、人工的な甘味が感じら、真っ白のB。

正解は、Aがおこっぺ牛乳、Bが市販の牛乳。満場一致でAに手が挙がりました。

黄色みがかった色味は、牛が食べる牧草のカロテンに由来しており、冬は枯れ草を食べるので、もっと白っぽくなるそう。
比べてみると、市販のものが不自然な白に見えました。
味わいも、aは牧場で食べるしぼりたて牛乳で作ったソフトクリームのように濃厚である一方、bは後に不自然な甘味がずっと残る、深みのない味わい。
飲み比べてみて、ここまで差があるのかと思うほど、全く違うものでした。
_mg_9182今や、私たちの日常において欠かすことのできない牛乳。では、消費者である私たちは、何を基準して選べばよいのでしょうか。
それは、成分表の「殺菌」に大きな違いがありました。

市販牛乳は「130℃2秒間」と記載されているのに対して、おこっぺ牛乳は「65℃30分間」と、表記されています。
市販のものは、高温のプレートの上を一瞬だけ通過させて、さっと殺菌するのみ。一方、おこっぺ牛乳は、低温でじっくりと殺菌をしています。

また、牛乳の均質にも大きな違いがあります。
市販牛乳は、牛乳の脂肪球を均一化させる製法(ホモジナイズ)を行っているため、どの部分も均一の濃さになっているのに対して、おこっぺ牛乳はその処理を行っていない(ノンホモジナイズ)ため、牛乳の上はクリーム層になり、上下で濃さが異なります。
_mg_9124
しっかり殺菌がされた安心できる状態でありながら、不自然に人の手を加えない本物の牛乳の姿が、おこっぺ牛乳なのです。

普段、何気なく飲んでいた牛乳。
市場にはたくさんの牛乳が出回っていて、何を基準に選んだらいいかわからない、そう感じている消費者の方も多いと思います。
私もそのうちの一人で、パッケージのデザインや、「濃厚」などの表記を見て、なんとなく美味しそうかなと牛乳を選んでいました。
いつも手に入る距離に、「本物の牛乳」があるとは限りません。
でも、現場の現状や、本物との違いを知っていることで、選択肢が増える。
牛乳だけに限らず、生活の中において、できるだけ「本物」を選択していくことに、消費者としての責任があるのではないかと、感じました。

(d47食堂 那須野由華)


食の語り部2017レポート
その他のレポートはこちら

葡萄づくりからワインづくりまで。日本らしいワインの魅力を学ぶ。
日本の菓子、米菓の魅力。原材料から本物の味を。
信州の米と水、微生物から生まれる伝統の酒づくり。
美味しい醤油づくりを支える、食材へのこだわりと安全。
微生物の働きから知る、美味しい味噌の選びかた。
本当においしい出汁の話。日本のかつお節文化を守る。