D&Department

D&DEPARTMENT ネットショップへ

img_3802-1000x650

釜浅商店に学ぶ道具のお手入れ 包丁編(2)

2017年3月31日 公開

前回は、包丁の選び方についてご紹介しました。

まず1本目の包丁を選ぶなら、
三徳包丁、牛刀、ペティ、菜切包丁のなかから選んでみるとよいですよ、という話でした。

続いて今回は、包丁のお手入れについてのお話です。

img_0212

みなさんご存知の通り、包丁は使い続けていくにつれ、、切れ味が落ちてしまいます。

なぜ切れ味が落ちてしまうのか。それは、包丁の刃先がまな板と当たることによっておこる、磨耗(まもう)が原因なのだそうです。包丁の使い方の良し悪し、ではなく、普通に使っていくだけで、切れ味は落ちてしまうのです。

img_3767

先日の勉強会の中で、講師の百合岡さんは、
『極論、空中で食材を切って、刃先を磨耗させなければ、ずっと切れ味は落ちない、ということになります。でも、まな板を使わない、なんてそんなことできませんよね。使っていくうえで包丁の切れ味が落ちてしまうのはしょうがないこと!どうやって切れ味を復活させるかが重要。』
とおっしゃっていました。

_mg_0490-1

ここで、会に参加している方から質問が。
『家庭で包丁を研いでいるのですが、いまいち”研ぎどき”がわかりません!』

たしかに!なんとなく定期的に研いでいったほうが良いのか気がしますが…
この疑問には包丁フロアの森川さんが答えてくれました。

_mg_0466

『定期的に必ず研がなくてはいけない、という訳ではありません。日々包丁を使っている中で…たとえばトマトなど、何だか切りづらいな〜と思ったら、その時が研ぎどきです。』とのこと。

その気づいたタイミングで研いでおくと、刃を傷めづらくなり、おおきな刃こぼれなどを未然に防ぐこともできるのだそうです。定期的ではなく気付いたときでいい、と聞いて、なんだか気が楽になりました。

このあと、会の中では包丁研ぎの一連の流れを見ながら、包丁研ぎの方法を学ぶことに。

img_0474-1

_mg_0485-1

おふたりの説明がとてもわかりやすく、自分でもできるかも!と、コツがつかめた気がしました。

さて今回は、私自身が普段使っている包丁が研ぎづらくなったなぁ…と感じたので、会で習ったように、実際自分の包丁を研いでみることにしました。

img_3765

私が使っている包丁は釜浅商店のS-V三徳というもの。まさに『まず1本目の包丁』として選び購入したものです。使い始めて3年半ほどになります。

せっかくなので、勉強会と同じく、研ぐ前と後でトマトを切り比べてみようと思います。

img_3768

研ぐまえの包丁で切ってみます。

img_3798

トマトの皮の上に刃が乗って滑ってしまい、つぶれてしまいそうでしたが…はたして切れ味は復活できるのでしょうか?さっそくスタートします!

まずはじめに、砥石を水に浸しておきます。30分くらいが目安です。浸し終えたら、ぬれふきんや、砥石固定用のゴム台などのうえにのせ、滑らないよう固定します。

img_3845

包丁を持ったとき、親指側にあたる刃の側面が、包丁の”表面”なので、こちら側から研いでいきます。

研ぐときには、まんべんなく研ぐのではなく、包丁を3分の1に分けるイメージで刃先から研ぎはじめます。

img_3859

img_3860

img_3861

砥石と刃先の角度は60度くらいに傾けます。3分の1づつ研ぐ際、ひと区間50往復くらいが目安です。50往復って、大変!と思われるかもしれませんが、意外とあっという間に終わってしまいますよ!速度は無理のない速さで大丈夫です。

img_3905

『前に押す』ように力をかけていきます。

研ぐとき、包丁は砥石からすこし浮かせながら動かします。刃との隙間に10円玉2枚くらいはいるイメージです。この感覚をつかむことと、隙間キープしながら包丁を動かすのが、すこし大変。慣れが必要そうです。

img_3990

数往復したら、一度指で刃先を触ってみます。このとき指先に”引っかかり”があれば、研げている証拠!その調子で全面研いでいきましょう。(刃先はくれぐれも注意して触ってくださいね!)

全面研ぎ終えたら、今度は裏面です。表面と同じ要領で研いでいきます。今度は『手前に引く』よう、力をかけていきます。

img_3929

裏面を研ぐとき、表面の研ぎ方とひとつだけ違うのは、柄に近い部分を研ぐときです。
表と同じように刃を当てると、砥石に持ち手がぶつかってしまいます。
なので、この場合は真横に向けて…

img_3959-1

このように刃を当てます。
裏面は、表面を研いだときに出た”引っかかり”がなくなるよう研いでください。

img_3959

ここまでくると少し慣れてきて、シュッシュッと、小気味好い音が、心なしか気分を上げてくれます。

指先に気をつけながら、表面も裏面も、きっちり引っかかりを取って…ようやく研ぎ終わりました!

img_3802

いざ、トマトを切ってみます!

img_4046

…明らかに、きれいに切れるようになりました!刃先のどこをあてても、滑らずにスッと刃が落ちていきます。

img_4048

img_4049

img_4114

ちゃんと研げていたようです。よかった!!

img_3763

最初のうちは肩に力が入ってしまいましたが、最後の方はスムーズに研げていた気がします!
また、切りづらいな〜と感じたときには今回のコツを思い出してチャレンジしたいと思います。

最後に、使い終わった砥石を片付けようと思ったら気づいたことがありました。砥石になにやら黒い粉のようなものがついていたのです。

img_4012

これは”研あか”(砥ぐそ ともいうそう)。砥石が粒子化したものだそうです。
汚れではなく研磨作用があるものなので、流さずに包丁を研ぎ続けてください。

研ぎ途中に砥石が乾いてきたな、と感じたら、この砥あかを流さない程度に水に濡らしてあげると研ぎやすくなりますよ。

img_3965

今回私が使った砥石は、中砥石というものです。
砥石にも種類があり、荒砥石→中砥石→仕上げ砥石 と、徐々に目の細かい砥石をかけていくのが包丁砥ぎの基本。ですが家庭で使う、という点では、ひとまず中砥石1本あれば十分!ということで中砥石以外は持っていません。他の砥石もおいおい揃えられたらなと思っています。

img_0227

なので家庭で包丁研ぎにチャレンジしてみたい!というかたには、中砥石がオススメです。

『砥石を使った包丁研ぎ』は、ハードルが高いなあ..と思っている方、少なくないと思います。ですが実際にやってみると、そんな難しいことはありません。たしかに慣れは必要かもしれませんが、コツさえつかめばあっという間に切れ味を復活させることができます。今回自宅でやってみた際も、片付けを含めた所要時間は30分ほどでした。

切れ味の良い包丁というのはやはり気持ちいいものです!しかも包丁はほぼ毎日使う道具です。気付いた時にちゃちゃっと自分で研ぐことができたらいいなあと思います。ぜひ皆様も挑戦してみてくださいね。

D&DEPARTMENT TOKYO 杉村希咲