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食の語り部レポート④飲み比べで学ぶ、お茶のつくられ方と味の違い

2016年6月15日 公開

第14回よい食品博覧会2016 「食の語り部」講座のレポートです。
良い食博覧会の初日の最終回は、創業文久3年(1863年)から約150年続いている丸八製茶場の丸谷さんをお迎えして「飲み比べで学ぶ、お茶のつくり方と味の違い」をお話しいただきました。

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まずはお茶の種類のお話。いつも何気なく飲んでいる煎茶、ほうじ茶、玄米茶、紅茶、これらは全て元は同じ種類のお茶の木なのです。おおまかには、お茶を摘み取って茶葉が酸化発酵してしまう前に加工するのが日本茶。酸化しないので葉は緑色のままです。

酸化発酵が進むと茶葉は赤っぽくなっていきます。半分発酵させたのが半発酵茶のウーロン茶など。そして更に発酵を進めたものが紅茶です。ほうじ茶は発酵させてはいませんが、加工の段階で焙じているので茶葉は茶系。茶葉もとても香ばしいかおり。

◆焙じる前の原茶と焙じた後の「棒茶」を飲み比べてみましょう

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ちなみに「棒茶」は各地にあり、地域によっては「白折(しらおれ)」、特に玉露の茶葉を作る段階で出るものは「雁ヶ音(かりがね)」と呼んだりします。 2杯を比べると水色がまったく違います。焙じるだけで全く異なる風味と色。原茶はすっきりとして後味でふわっと甘さが残ります。焙じた後の棒茶は香ばしいかおりが鼻を抜け、口の中にも余韻が残ります。茶葉を焙じただけで水色も風味も味わいもこんなに変わってきます。

◆加賀棒茶が誕生した背景は?

飲み比べながら、加賀棒茶が誕生したお話を伺います。元々棒茶は、お茶を作る工程で使わない棒の部分を捨てるのがもったいないからという事でつくりだされたものでした。ですので、昭和50年代の後半までは下級のお茶で、品質にこだわるとかそういうものではなかったと言います。丸谷さんの3代前の時代だそうです。

天皇陛下が石川へお越しの際、当時80歳を越えられていた陛下の御身体にさわらないようほうじ茶が求められました。それを機に陛下にお出ししても申し分の無いほうじ茶をという事で、抹茶、玉露、煎茶ありとあらゆるものを試して、今の加賀棒茶ができあがったそうです。それまでは余った茎の部分を使用していましたが、今ではほうじ茶の茎に使用する茶葉を育てる専用の茶園もあるほど。直接農家の方から茶葉を仕入れることは珍しいそうで、市場の競りで仕入れることが通常だそう。その品質へのこだわりが今でも受け継がれています。

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そして引き続き2回目の飲み比べ。今度は「煎茶」「水出し棒茶」も加わります。ほうじ茶(棒茶)の水出しは初めて体験します。水に茶葉を入れて、水色が透き通った琥珀色になったら飲み頃。お湯で淹れたほうじ茶(棒茶)ものと比べてすっきりとした飲み口で、甘みと旨味がはっきりと感じられます。淹れ方でも茶葉の味わいが変わってきます。

次は煎茶。「よく、温度や時間にとてもこだわってこだわりすぎてお茶を淹れることから遠のいてしまうより、おおらかな気持ちでお茶を淹れる方がよかったりするんです」「あ、でも、急須はあたためておいてくださいね。でないと、せっかく温かく淹れたお茶が冷めてしまいますので」と丸谷さん。風味が焙じる前の原茶にどちらかというと似ている気がします。

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◆これから良い「お茶文化」が残っていくために、わたしたちができることは何ですか?

今考えていることは「急須を使う機会を増やすこと」「お茶の飲み比べの機会を増やす事」「お茶を飲むときは大抵1種類だけで飲みますが、ぜひ色々なお茶を飲み比べてほしい。飲み比べる事で、それぞれの味の違いがわかりますので。そしてその味の違いが産地やメーカーへの興味につながると思います。」と丸谷さん。加賀棒茶のことだけではなく、お茶文化全体のことを考えて日々真摯に取り組まれている姿勢を学びました。

d47 食堂でも飲み比べをしていますが、これからも積極的に続けていければと思います。そして、故郷の味がお茶で表現できたり、旅で訪れた土地の思いがお茶にひもづけば、思い出の味が増えたり。そんな楽しみ方も増やしてゆけるd47食堂でありたいと感じさせていただいた講座でした。


d47 design travel store 中村

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