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食の語り部レポート③昆布から考える、日本の出し文化

2016年6月10日 公開

第14回よい食品博覧会にてd47食堂内で開催された 「食の語り部」講座のレポートです。 第3回目は大阪府で昆布屋を営むこんぶ土居の四代目土居純一さんに、「昆布から考える、日本の出し文化」についてお話しいただきました。d47食堂では、オープン当初から「こんぶ土居」の昆布で取った、出しが使用されています。

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1903年創業の老舗昆布屋「こんぶ土居」。昆布の製造、加工のほとんどを自社で行っています。毎日行っていることは、昆布を一枚ずつ選別すること。昆布の品質は、漁師や乾燥方法で1枚1枚異なります。見て判別していくそうです。「基本的に外注はしない」と土居さんはおっしゃいます。理由は、外注先の都合に合わせた商品作りになってしまうこと、自分で責任を持つこと、技術の保持をすることだそう。

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また、こんぶ土居では、産地の後継者不足から、次世代に向けての取り組みを行っています。夏に産地へ出向き漁を手伝い、約20年間、地元の小学5年生を対象に食育活動をしています。高校生になり、修学旅行でこんぶ土居に来る子どもたちもいるそうです。海外からこんぶ土居へ勉強に来るシェフもいます。

では、よい出しとは何でしょうか。
よい出しとなる、昆布の正しい選び方を伺いました。

1つめは、昆布の品種。
2つめは、天然か養殖、促成栽培の育て方の違い。
3つめは、産地。

まずは、昆布の品種から。出しにおすすめの昆布は、高級なものから、真こんぶ、利尻こんぶ、利尻系えながおにこんぶ(羅臼こんぶ)です。それぞれに、個性があり、好ましくないネガティブ要素があります。最高級といわれる真こんぶは、旨味の含有成分が多く、海藻臭さがない、灰汁が出ないなどのネガティブ要素が少なく、出しに最適です。

2つめは育て方。昆布は2年かけて育ちます。「天然」は自然のまま育ったもの。近くに山があり、動植物が生息し、川があり、その水が海に流れてくると、栄養たっぷりのよい昆布に育つことができます。「養殖」は、「天然」から胞子を採取し、種苗センターで培養。海に戻して育てます。「天然」と分けるため沖合で育てるそうです。「促成栽培」は、養殖昆布のひとつで、1年で育て、十分に成長されていない状態で出荷されます。

最後は産地。北海道の真こんぶの産地の中でも、とくに最高銘柄が採れるのは「川汲(かっくみ)」と「尾札部(おさつべ)」。場所によっても味が異なります。

土居さんの扱う昆布の95%は、真こんぶの天然もので、川汲で採られます。川汲の天然昆布の内、1/3ほど購入しているそうです。

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紙コップが2種配られました。土居さんの出しと顆粒だしです。
私は恥ずかしながら、家で顆粒だしを使用しているので、すぐに見分けることができました。土居さんの出しは、くせがなく、出過ぎず、すっと飲め、体にやさしく染み入るような味でした。

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土居さんは、パッケージの裏を見て、それぞれ何が入っているか解説してくださいました。表示では、多い成分から順番に書かれています。顆粒だしは、多い順からアミノ酸、食塩、砂糖……なかなか昆布や鰹節が出てきません。出てきても、風味原料と書かれてありました。味噌汁一杯分の出し(150cc)に使用されている天然素材(昆布、鰹節)は0.2g以下。いつも使用している顆粒だしは、化学調味料の味だということに驚きました。

「出しを取る時間がない」と思われる方も多いのでは。
土居さんに、実際出しを取っていただきました。

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軟水1リットルに昆布10g。鍋に一晩つけるだけです。使用するとき、鍋を沸かし、沸いたら昆布を取り、鰹節を入れ、2、3分たったら、目の細かいザルで漉して出来上がり。残りは温かいうちに密閉して冷蔵庫へ保管すると、約1週間おいしさを保つことができます。

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それぞれを味見し、最後はd47食堂で出している味噌汁と、出しで使用した昆布を佃煮にし、具材としたおにぎりをご用意。

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最後に土居さんはいいます。
「にせもの」と「本物」を消費者がぜひ見極めてほしいと。何を選んで何を買うか(=支持するか)。能動的に選ぶようになってほしいとおっしゃっていました。そのために、こんぶ土居では、正しい価値についてお客様に説明し、情報を伝え、本物を作り、本物を提供したいと強くおっしゃっていました。わたしたち消費者は、まず、知ることが大切です。

d47 design travel store 澤田央

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