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タナカファームの卵とひね鶏

2016年4月12日 公開

前回のブログでもご紹介しましたが、大阪河南町にある平飼い養鶏場のタナカファーム。鶏たちは自然の中、太陽の光を浴び、新鮮な空気を吸い、土の上で元気いっぱいに走り回っています。100羽のメスに対して6羽のオス、より自然に任せた有精卵です。(その分お世話も大変です。)
餌はと言えば金沢農業の井村さんの有機無農薬大豆、小麦、鳴門の三ツ石さんのワカメ、京都あらいぶきっちんさんのおから、香川かめびしさんの醤油かす等々、すべて「どこ産の誰からの何」の集まり。田中さんは生産者さんのところまで足を運び、自分の目で見て、納得したものを揃えています。鶏たちにも安心安全な飼料を与える為に、こだわり抜いた厳選素材で自家配合されています。なんと正直な方なんでしょうか。

そんなたまごの色は驚く程にレモン色。これが自然な黄身の色なんですね。濃いオレンジでも赤でも無い。初めて田中さんの卵を割った時に、今まで26年間信じてきた事が覆された瞬間でした。家に帰っても、寝て起きても、1週間経っても、ショックというか驚きというか、なんだか心が追いつかないぐらいの衝撃でした。今までこれが正しい、自分の中で良いと思っていた価値観がガラっと変わる時って一瞬ですが、整理するのには結構時間がかかるもんですね。その間、どんどん疑問が沸いてくるので、卵についてたくさん調べました。結果、食全体の話にも繋がり、大袈裟では無く生き方にまで影響してくるレベル。

みなさん、普段口にしている鶏肉のほとんどは食肉用に育てられた若鶏ですが、卵を産む鶏は採卵期間を終えたらどうなるの?と疑問に思った事はありませんか?ひね鶏という言葉もありますが、世の中には廃鶏という言葉も存在します。漢字自体も恐ろしいですが、それはとても悲しい事。採卵期間を終えた鶏は廃棄されたり、まだまだ産卵もできて健康ですが、飼育コスト削減などの経済的理由により、解体、と畜(と殺)されたりが現実。それが廃鶏です。

タナカファームでは卵を産み終えた鶏(約1年半の飼育後)は食肉用として加工されます。先日、こんぶ土居四代目の土居純一さん、出汁料理研究家のChieさん、D&Dダイニング店長の安達と一緒に1年2ヶ月のひね鶏をいただきました。タナカファームのひね鶏と、スーパーで買ってきた国産若鶏とを食べ比べです。

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(写真下参照)手前がタナカファームのひね鶏。奥がスーパーの若鶏。それぞれササミ、ムネ、モモをフライパンで焼いていただきました。まずひね鶏を食べての感想は、思ったより硬くない。弾力はあるが問題無く噛み切れる。噛めば噛む程に肉の旨味が出てくる。しっかりとした味。これは美味しい。本当に美味しい。今まで食べてきた鶏肉ってなんだったんだろうと、心の整理がつかずなんだか泣きそうにまでなった。

恐る恐るスーパーで買ってきた若鶏を口に入れる。非常に柔らかい。でも味が薄い。それなのに、変な味がする。変な味がしっかりとする。何かに似ている。何だろうと考えていたら添加物たっぷり入ったソーセージの味だ!となった。思わず「下味付いてるものじゃないですよね?」とまで確認した。

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部位ごとに焼いて食べて、焼いて食べてと繰り返していたのですが、スーパーで買ってきた若鶏を焼いている間だけものすごい脂の香りというか、独特の香りが部屋中に充満していて、匂いだけでも全然違う事に驚きました。
今まで生きてきて牛や羊、鴨とは違い、鶏は柔らかいものだと思っていました。普段美味しいと思って食べてきた鶏、「柔らかくてジューシーなもの=美味しい」という価値観も覆され、さらには今まで食べていたものが変な味がするとまで気付いてしまってもうヘトヘトに。 すべては餌だと思い知らされます。

話はたまごに戻り、有精卵と無精卵。有精卵だからという理由での味や栄養の優位性は認められていません。しかし、太陽、土、空気、水が新鮮で、メスの中にオスもいて、ストレスなく元気いっぱい走り回れる様により自然に近い形で育てられた鶏たち。餌は人間が食べても美味しいと思える安心な飼料で育てられた鶏たち。田中さんの愛ではないでしょうか。愛情たっぷりと育てられた鶏たちは、間違いなく栄養価も高く、幸せだと思うんですよね。

人間はあらゆる命をいただいている日々ですが、毛だけむしり取って終わりとか、卵産んだから終わりとか、肝臓を肥大させてそこだけ食べて終わりとか、おかしな話です。人は欲に溺れやすい生き物ですが、忘れてはいけないのは命に対しての感謝や尊重だと思いました。今回タナカファームの田中さんの卵に出会って、人にも植物にも動物にも、あらゆる命に感謝をして、最後まで責任を持っていただきたいなと改めて思いました。

冒頭で、大袈裟ではなく生き方にまで影響してくるレベルと言いましたが、正直に育てられた栄養価の高いものを少しで良いなと。そういう生き方で十分だと思いました。来週4月18日(月)に開催されるd SCHOOL「わかりやすい卵」では、こんぶ土居三代目の土居成吉さん、Chieさん、タナカファームの田中成久さんをお招きし、D&D安達も加わってのトークショー。そして鶏肉の食べ比べ、ささやかな夕食を用意してお待ちしております。今一度、持続可能な食生活を考えていける会になると思いますので是非。

D&DEPARTMENT DINING OSAKA
高本 苑子

 

〈関連イベント〉
一汁一菜から始めよう 春の会
d SCHOOL わかりやすい卵

tamago3日時:2016年4月18日(月)18:30-21:30
参加費:3000円(DVD、食事付)
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