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tateyama

ホテル立山

  1. 中部山岳国立公園にある標高2450メートルのホテル。 立山黒部アルペンルートを運営する「立山貫光ターミナル」直営。1972年開業の、室堂唯一のホテル。
  2. 建築家・村田政眞による、質実剛健にして華麗なデザイン。 宮内省内匠寮勤務を経て、駒沢陸上競技場(1964年)などを手がけた戦後モダニズムの大家による、山岳建築の最高級。
  3. 窓の外を見なければ、高地にいることを忘れるほどの居心地。 ロビーやカフェの家具は「飛驒産業」、レストランの皿は「ノリタケ」など。バス、トイレは平地と同じ清潔・快適さ。

立山の夜 立山黒部アルペンルートの名所「雪の大谷」の先に、巨大な赤い矢印が見える。室堂ターミナル直結の「ホテル立山」の大屋根で、いざという時、登山者が避難してくるための目印になっている。厳しい環境に耐え続けるコンクリート壁の外観は、ペンキが剝げてきているが、館内は一転、温かみのある木材が多用され、寛いだ雰囲気だ。標高二四五〇メートルという山岳地帯に、山荘ではなく、平地以上の上質なホテルがあることが、すでに凄い。フロントの椅子は、美脚が特長のキツツキマークの「飛驒産業」。最上五階の開放的なロビーには、造形が美しい手摺りや格子、シャンデリアなどの照明器具、ソファ等の家具―すべて、このホテルのためのデザイン。こんな山の上でこんな贅沢をしていいのかと、申し訳なくなるほど素敵な洋食堂「つるぎ」は、料理も本格、地酒も各種揃っているが、ワインがよく合う。ホーライサンワイナリー「立山ワイン」を、ぜひ試してほしい。窓の外には夏の立山が、すぐ近くに、くっきりとあった。朝は山頂まで見事に晴れて、八月でも雪が眩しい。昼は霧のような雲が斜面を登り、夕方にまた降りてきて雲海をつくり、その中に真紅の太陽が沈んで夜が来る。立山の夜は、手に持つビールも見えないほどの暗闇。外に出て、手で地面があると確かめてから寝転ぶと、数えきれないほどの流れ星。ペルセウス座流星群だった。日本最高所のホテルは、宇宙の中にあった。日帰りでは、ここまでは来られなかった。(空閑理)