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kumpusha

ペンション 薫風舎

  1. 広大な畑の真ん中で眺めを楽しむペンション。デザインとここの価値をわかるお客だけの空間。

その宿は、丘の町と称される美しいパッチワークのような畑がうねる、そんなふもとにある。資料写真で見る限りは、その眺めを楽しむため、畑の真ん中にいきなりつくったような、それほどの北海道、美瑛らしい風景を堪能できる。その宿に行きたくなった。そして、調べるとペンションであった。ペンションといえば芸達者なオーナーが、宿泊客とギターを弾いて歌ったりする。多くの人がそう思い、どこか「ペンションは……」と避けている。僕もそうだった。薫風舎は今年で15年を迎えるペンションである。東京脱サラ組のオーナーは、この景色を見るためだけの宿として、ホテルではなく、このスタイルをとった。ペンションとは、ひと言で言えば「家」である。家には、各部屋に風呂やトイレなどはない。食堂に家族が集まり、団らんのひとときがある。部屋には歯ブラシもタオルもない。あるのは、おいしい手料理とリーズナブルな価格と、家族。考えてみれば、高級ホテルのベルボーイに「おかえりなさい」と接客されてもピンとはこない。旅館も女将が頭を下げてくれるのは最初と最後だけだ。そして、いつの間にか、そういうスタイルをかっこいいと思い始めた。もし、ペンションが静かで、シンプルで、デザイン的だったら、どんなにいいか。眺めを大切にする意識の高いお客が、みんなで静寂をつくりあげ、暖炉の前で読書ができたら……。薫風舎はペンションである。ただ、静寂を大切にする客とデザインのあるその理想のペンションである。(ナガオカケンメイ)