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珈琲亭 ちろる

  1. 旭川の町の中心地にぽつりと残された、三浦綾子「氷点」にも登場する民藝テイストのモダン喫茶。

赤煉瓦と、版画家・川上澄生の旗。ツタと旭川の街。一方通行の細い路地に作家・三浦綾子が通ったことで知られる「ちろる」はある。1939年にオープンし、30年後に息子である下村さんが東京でデザイナーをしていた経験を生かして改装、今の佇まいとなった。「おやじの言う事をすべて無視して自分の世界を作ったね。当時から残っているのは柱だけ」。地方において喫茶店とはどうあるべきかを、民藝品や版画が大好きだった詩人の父の背中から学び、改装のポイントを「自分が60歳で引退することを考えて、それまで古くさくならないよう、木、焼物、皮、鉄で作ることを決めました」と言う。「ちろる」が他の喫茶店にない落ち着きを持っているのは、文化人や学生の作品発表の場としての喫茶店のあるべき姿勢。それと、創設の父から継がれた思いや息子である下村さんの「いつまでも古くなることなくある」ためのセンスによる。町の急激な過疎化により、今の立地での商売は正直、厳しい。ひとけの少ない旭川の町は、ある時代から時間が止まったような表情も持つ。そんな町の中で、全国から根強いファンと地元の常連客によって「ちろる」の歴史は続いている。素敵な中庭席と、プライバシーを意識して「読書がしやすいように」と考えられたボックス席。ウェグナーのYチェアや、川上元美の椅子の中に、ジャスパー・モリソンの現代的な椅子が混じり合う。新しさと旭川の歴史と、古くならない意志のある喫茶店である。(ナガオカケンメイ)