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北野農園 北野忠清 ー泉州水茄子ー

2016年9月29日 公開

「食べれば分かる。言葉がなくても、ちゃんとつくってることは伝わるんです」

守ることも、また挑戦。

改めて、その難しさと大切さを教えてくれる人に出会った。

黒いダイヤモンドとも呼ばれる「泉州絹皮水茄子(せんしゅうきぬかわみずなす)」は、まるで果物。生のまま齧ると、優しい甘さが口いっぱいに広がる。ぎゅっと握ると水が染み出るほどにふんわりと柔らかい。

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その水茄子を代々継承されてきた栽培方法で作り続けているのが、北野農園の北野忠清さんだ。

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大阪店ダイニングメンバー4人で、北野農園さんの見学にお伺いした。大阪市内から、車で南に約1時間、貝塚市の住宅街に北野農園はある。

いわゆる、畑を想像していた私は、案内された場所を見て驚いた。そこは、まるで田んぼ。畝の間にはたっぷりと水が溜まっている。踏み込むと、足の甲まで簡単に埋まってしまう。蛙が何匹も飛び跳ねている。あめんぼもたくさん泳いでいる。

「畑」が元気な証だ。

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今では、このように、水を溜めて栽培する農家は少ないという。作業もしづらく、根も腐りやすい。

「周りからも、どうしてこんな面倒なやり方を続けているんだ、と言われますよ」。それでも、このやり方にこだわる。北野さんは大きく笑いながら話してくれた。

「祖父の代から同じ方法を続けています。栽培方法を変えることで、品質が変わってしまうことが怖いんです。長いお付き合いのお客様からは、北野農園だから、という理由ではなく、『おいしいものを作る君のところだから買っているんだよ』と言われますから」。

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水茄子の栽培はデリケート。接木や温度管理、自分たちで作った有機堆肥を土作りに使うなど、さまざまな工夫をしている。守るだけではない、昔からの考え方をベースに発展させていくのが北野さんのやり方だ。

ダイニングでも、泉州水茄子をはじめ、北野農園さんの野菜を使った料理を提供している。お客様からも、「野菜がおいしい」との声をよく頂く。私自身、北野さんの泉州水茄子を初めて頂いたとき、そのおいしさに魅了された。

(※ダイニングでの泉州水茄子のご提供時期は、その年にもよりますが、3月〜8月下旬となります。是非、来年、泉州水茄子を味わいにお越しください。お待ちしております。)

私の実家も農家なのだが、よく、祖母や両親から、「おいしくなってほしい」という愛情をもって接するとちゃんと野菜たちにも伝わるんだよ、と聞かされていた。

北野さんに畑を案内して頂いたとき、茄子の木々たちのことを、「あいつ」や「こいつ」などと呼ぶのが印象的だった。「あいつはちょっと元気がないなぁ」とまるで家族や友人を心配するかのように、呼びかける。

北野さんの野菜たちは、たっぷり愛情をもらって育った味がする。

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「おいしいということは、食べてもらうことで、ちゃんと伝わるんです。スーパーでよく、おいしさの代名詞みたいに『有機栽培』だとかの表示があって、それで選択する人もいると思いますが、実は、それってそんなに重要ではないと思うんです。食べると分かりますからね。言葉なんていらない。食べて、おいしい、それが大事なんですよね」。

北野さんは今、昔ながらの泉州水茄子の品種「樽井巾着茄子(たるいきんちゃくなす)」を復活させようと、日々、奮闘している。時代に合わせて、変わってきた泉州水茄子の品種。柔らかすぎるその実が、輸送に適さないことから、徐々に品種改良されてきた。しかし、それは、本来の泉州水茄子ではない。10年以上も前の種を発芽させ、さらにそこから種を採ることは容易ではない。

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過去、そして未来を守ること。

大きな笑顔で、挑戦し続ける北野さんなら、きっと成し遂げられるだろう。

D&DEPARTMENT DINING OSAKA

五嶋 絵里子

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また、こちらの取材内容については、現在、d47で開催中の「トマトが赤くなると医者が青くなる青果店ー語り継がれる47都道府県の健康知恵野菜達ー」の関連書籍にも掲載予定となっております。

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