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屋根裏 貘

  1. 写真家、画家、デザイナー、演劇家などが集まる、老舗アート&カフェスペース。 1店目は、芸術学部がある九州産業大学前に開店(2007年閉店)。2店目は、1976年に現地で開店、「アートスペース貘」を併設。
  2. 味わい深い“屋根裏デザイン”。 常連の九産大の学生達皆でデザイン・施工した空間。いつ訪れても、異国情緒の真夜中の屋根裏的雰囲気。
  3. 「親不孝通り」が文化発信地だった時代を知らない若者達も、身を寄せ心を寄せる場所。 名物料理、銅マグに冷えた生ビールと、温かく優しいママがいる。ウイスキーを飲む者の隣で、持ち込み弁当を食べる者も……誰も気取らない店。

世代を超えた芸術酒場 僕の父も学生時代に通っていた「屋根裏 貘」は、当時、雑誌「美術手帖」がブレイクしていて東京への憧れが高まる中、地元で暴れたい若い芸術家達のたまり場だった。開店時、今日を精一杯生きる、という想いを込めて、学生達がつけたキャッチコピーは「明日なき画廊」。我が道をひた走る芸術家達が、夜な夜な集まり、議論する店だ。それは今も、驚くほど変わっていない。板張りの天井は斜めに屋根裏風にデザインされ、ここが天神の、ど真ん中のビル二階だとは、とても思えない。すっかり変色したヘンリー・ムーアの大きなポスターは、若者達の背中に削られて壁と一体化している。店の中央には、真っ黒な海に沈んだ難破船からサルベージしたみたいな、古めかしい宝箱が一つ置いてあるが、これは、開店以来、誰も開けたことがないそう。何もかもが明るく開かれているような現在、それは一見で、こんな時代だからこそ、この〝暗く閉ざされたような店の居心地〟は貴重だと僕は思う。「大切にしたら、人間も動物も、顔が優しくなったり、性格が理解できたりするでしょう。カップや電話、電灯や時計、店舗も同じ。そうなれたら、いつまでも傍にいてくれる存在になるのよ」とママは微笑む。帰りに店名「屋根裏 貘」の元ネタとなった、エアロスミス『Toys in the Attick』を「ボーダーライン」で探すと、ジャケットには宝箱の絵。そして若きタイラーは四曲目で何度も叫んでいた―「Walk This Way」。(空閑理)