紙の建材

2010年7月27日 14:42更新

坂茂さんは建築家。自身の好きな建築家のひとりで、建築と言う手法を用いて、とても直接的に社会貢献を実現している建築家だと思う。世界中のどこでも製造することができる紙という素材を使い、主には、地震等による災害時の避難施設、仮設住宅をボランティアでつくる活動をしている。この活動は、医者や弁護士のように、より直接的に、困っている人を、建築家という立場から手助けすることができないか、と考えたひとつの選択肢だと言う。また、自身で交通費や資材費等を持ち出してでも、現地で活動してきたこともあるらしい。ひとりの偉大な活動家だと心から思う。


坂さんが建てた紙の建物のひとつに、阪神大震災の時につくられた、紙の教会がある。知っている人は多いかもしれない。あの紙の教会は仮設であると思っていて、当然もうなくなったものだと思っていたら、実は、別の国(別の被災地)で活用されているというのだ。坂さんは、「Voluntary Architets' Network」という書籍の中で、紙の建材は永久建材である、と言っている。また、紙の建材を、簡易的と捉えるかどうか、それを決めるのは、実は使う人の「思い」なのだと。使う側の意思や思いが、その物の寿命を決めるというのだ。確かに、ここまで製造技術が発達し、いろいろな国の製品基準が高くなった今日、使えなくなって捨てる、というまで使い込むことは、そうそうない気がする。概ね、捨てる理由は、今の気分にあうかどうか、のようなことだ。紙の教会は、必要とされる場所に旅立った。これからも、別の場所にきっと行くだろう。人の思いが、物の寿命を紡いで続いていくとすると、使う側は、思いを込めて使うことができる物を、買っていかないといけない。


相馬 夕輝

前の記事
次の記事
社長日記トップ
D&DEPARTMENT PROJECT
ページトップ